ISPE International Conference on Concurrent Engineeringは,設計者がコンピュータソフトウエアを利用したコラボレーションやコミュニケーションにより,設計上のトレードオフを解決するための情報技術について議論する場として毎年夏季に開催されている.その16回目の会議CE2009は台湾のNTUSTで行われた.
セッション名 | 件数 |
---|---|
Structural Optimization | 69 |
Multidisciplinary Design Optimization | 36 |
Engineering Optimization & Inverse & Identification Problems | 25 |
Optimization of Thermal & Fluid Engineering Systems | 6 |
Numerical Optimization Methods | 24 |
Genetic Algorithms & Evolutionary Methods | 15 |
Surrogates & Metamodels | 17 |
Multi-Objective Optimization Methods & Applications | 21 |
Shape & Topology Optimization | 59 |
Level Set Methods for Shape & Topology Optimization | 13 |
Sensitivity Analysis | 11 |
Topological Asymptotic Analysis | 10 |
Topology Optimization & Material Design Using Homogenization & Weak Convergence Methods | 16 |
Optimization in Multibody System Dynamics | 4 |
Applications of Optimization in Bioengineering | 5 |
MEMS | 3 |
Structural Optimization in Micro & Nano Applications | 4 |
Optimal Design of Advanced & Graded Materials | 4 |
Multiphysics Topology Optimization | 12 |
Multidisciplinary Applications of Topology Optimization | 9 |
Optimization for Damage & Fracture | 12 |
Robust Design/ Design for Uncertainty & Reliability | 31 |
Stochastic Optimization Methods in Robust Optimal Design | 8 |
Applying Optimization Tools to Industrial Design Problems | 15 |
Methods for Optimal Structural Design in Aeronautics Applications | 27 |
Automotive Design Optimization | 8 |
Industrial Applications | 13 |
Optimum Design of Space Structures | 7 |
Innovative Methods for Multidisciplinary Integrated Optimal System Design | 4 |
Optimization of Smart Structures | 5 |
全体を概観すると,トポロジー最適化や形状最適化に関する研究が全般的に活発であることが最大の特徴で,今後もこのような傾向は続くものと予想される.特にレベルセット法を用いたトポロジー最適化が世界全地域で主流となりつつある.また,最適化アルゴリズムの開発や多目的最適化,メタモデル(surrogate),ロバスト設計などの研究も盛んに行われている. 4日目午後に開催されたパネルセッションでは,以下の切り口,話題で全体的な研究動向の総括的な報告が行われた.
大陸別の傾向を眺めてみると,アメリカからはトポロジー最適化に関する研究が多く発表されていた.ヨーロッパからはトポロジー最適化や最適化手法の応用事例の研究報告が最も多く,最適化アルゴリズム開発に関する研究は一部の研究者のみによって行われている印象である.一方,アジアからは,トポロジー最適化などの構造最適設計法に関する研究と,最適化アルゴリズムに関する研究の両方の幅広い分野の発表が行われたとの印象が強い.
トポロジー最適化については,構造形態を求める計算法に重点が置かれており,力学的な考察が不足しており,今後は数値計算法を開発すると同時に,力学的な考察を並行して行っていくことの重要性が指摘されていた.特にマルチフィジックスにおけるトポロジー最適化に関しては,今後,多くの研究報告がなされるものと期待される.
また,産業への応用事例として,上述のパネルセッションでの指摘どおり構造最適設計法に関する研究報告は確かに少なかったが,塑性加工分野への最適化応用など,着実に最適化技術の適用分野の拡大が進行しいていると感じられた.
最後に,2010年6月に第6回構造と機械システムの最適化に関する国際シンポジウム(The 6th China-Japan- Korea Joint Symposium on Optimization of Structural and Mechanical Systems: CJK-OSM6)が京都で開催される.毎回,アジアにおける最適設計法に関する最先端の研究報告がなされる.CJK-OSM6の研究動向がWCSMOの研究動向と比較的一致しているため,最適化や最適設計法,最適化を応用しようとしている研究者には是非ともCJK-OSM6に参加されるようお勧めする.
山崎 光悦・北山 哲士(金沢大学)
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