JSME

2012年度部門賞と一般表彰の受賞者の紹介

部門賞受賞者

部門功績賞

成田 吉弘(北海道大学 教授
第86期部門長,部門講演会実行委員長(D&D2009),部門英文誌(JSDD)編集委員長などを歴任されるとともに,日本機械学会の庶務理事,および編集理事を務められ,当部門はもとより機械学会の発展に大きく寄与されています.特に,実行委員長を務められた第12回Asia-Pacific Vibration Conference (APVC2007)では,同会議を大成功に導くとともに,JSDD誌特集号編集長としてAPVC2007特集号を刊行され国際的学術の発展に多大なる貢献をされました.さらに,2009年にはKSME機械力学・計測制御部門との協力協定締結に尽力され,韓国機械学会とのジョイントシンポジウム再開に貢献されました.

学術業績賞

井上 喜雄(高知工科大学 教授)
部門基盤技術の一つであるダンピング分野,今後の発展が期待される人間に関するセンサ・アクチュエータ分野で卓越した研究成果を残されました.まずダンピングに関しては,減衰振動系の解析,粘弾性体を含む構造物の減衰特性,動吸振器の設計,そしてロッキングの減衰特性などについて長年研究を継続し,分科会主査などを通して分野の牽引役を務められるとともに,「加振周波数の変動範囲を考慮した動吸振器の設計法」では,普遍的でかつ新鮮な方法を提案され,2010年に日本機械学会賞(論文)を受賞されました.つぎに,人間の運動や力・ノ関するウエアラブルセンサやエネルギー回生型のマスタースレーブに関して国際ジャーナルに多くの論文を発表され,世界から高い評価を得ています.特に,「履物に内蔵する超軽量・超薄型床反力センサ」については,世界で初めて医療現場で使用可能なウエアラブル床反力センサの開発に成功したとの評価を受けられ,アメリカ,カナダ,ポルトガル,中国の有力大学から共同研究の申し入れを受けています.さらに,エネルギー回生型の力覚を有するウエアラブルなマスタースレーブについても,中国の科学技術院から高く評価され,国際共同研究を進めておられます.

学術業績賞

石原 国彦(徳島文理大学 教授)
振動・騒音に関する幅広い研究を,40年を越えて行ってこられました.中でも特に流体関連の振動・騒音に関する分野で顕著な業績を上げられ,ターボ機械の翼の振動では非定常流体力学から励振力を求め,それを翼の振動に適用して共振応力の評価法を確立されています.本業績は流体分野と振動分野の架け橋となったことにより,日本機械学会賞を受賞されました(昭和55年度).最近では,ボイラ管群の気柱共鳴音あるいは空力自励音の発生メカニズムの解明と対策法の提案を行い,対策法の一つであるバッフル板の挿入効果が従来は共鳴回避によるとの説であったものを局部共鳴モードの変化による渦が音場へ与えるエネルギーの減少であるという新しい説を提唱されました.このほか隙間流励起振動(FDCの異常振動),管および管群の流力弾性振動,流体騒音などの研究成果も機械学会論文集に数多く掲載され,最近の5年間で33編(うち筆頭著者論文25編),特に2010年,2011年では各10編の論文を発表され,当該分野の学術・出版の顕著な業績を収めておられます.

パイオニア賞

宇津野 秀夫(関西大学 教授)
自動車,家電品,家電,産業機械といったさまざまな分野において騒音低減のために用いられている粘弾性三層形の制振鋼板に対して,その減衰特性の簡便な測定技術,および騒音低減効果の予測技術を確立され,これにより制振対象に適合した鋼板を効率良く選定することを可能とされました.さらに,シェル状成形品に対して普通鋼板を制振鋼板に置き換えた時の振動低減効果を周波数応答関数の形で予測する手・@,ならびにその騒音低減効果の試聴システムを考案されました.また,海峡大橋建造時に架設される懸垂ロープの異音発生メカニズムを波動の伝播特性から明らかにされ,騒音発生とその低減方法に対する各種の動特性予測に関する研究の礎を築くパイオニアの役割を担っておられます.

部門一般表彰者

部門貢献表彰

中野 公彦(東京大学 准教授)
第89期機械力学・計測制御部門,2012年度機械力学・計測制御部門講演会実行委員会(D&D2012)の幹事として部門の活性化に大いに貢献されました.部門幹事としては,常設委員長連絡会の幹事を務め,部門活性化の議論を行い活性化策の検討に尽力されました.D&D2012の実行委員会幹事として,同講演会の開催と運営に尽力され,講演会を盛会に導き,部門運営に多大の貢献をされました.また,部門所属の研究会主査を務められ,部門の活性化にも大きく貢献されています.

オーディエンス表彰(Dynamics and Design Conference 2012 優秀発表者)

横山 和人(慶應義塾大学大学院 現 三菱電機)
論文名:エネルギー整形非線形制御による車体重心移動機構を有する倒立振子型移動体の加速制御

杉田 直広(慶應義塾大学大学院)
論文名:超音波駆動されたマイクロバブルの係数励振的形状不安定性

山田 啓介(京都大学)
論文名:圧電素子を貼付した平板とLR回路による共鳴音の低減

オーディエンス表彰(シンポジウム:スポーツ・アンド・ヒューマン・ダイナミクス2012 優秀発表者)

仲谷 政剛 (アシックス・筑波大学大学院)
論文名:筋張力の発揮能および動作変換率からみた定速走における支持脚筋群の動的特性

D&D2013における表彰式