特別講演(市民公開行事)
日時: 9月5日(火)15:15-17:30
場所: 全学講義棟1号館3階1-301室
備考: 公共交通機関を利用してご来場ください
  • 特別講演1 15:15~16:15
    • 講演題目:「サッカーのちから ~豊かな社会づくりに向けて~」
    • 講師:浦和レッドダイヤモンズ株式会社・代表取締役社長 淵田敬三氏
  • 特別講演2 16:30~17:30
    • 講演題目:「人生に関わるホルモンの話」
    • 講師:埼玉大学大学院理工学研究科戦略的研究部門・教授,図書館長 坂井貴文氏

特別講演1 講演概要

講演題目:「サッカーのちから ~豊かな社会づくりに向けて~」
講師:浦和レッドダイヤモンズ株式会社・代表取締役社長 淵田敬三氏

 みなさま,こんにちは.浦和レッズ代表の淵田敬三です.
 このたびは,120年の歴史を持ち,機械関連技術を通じて,日本をはじめ,世界に貢献されている日本機械学会のみなさまの前で,お話しをさせていただく機会を賜り,御礼申し上げます.
 今大会のテーマが「120年の伝統と革新の調和~より広く,より深く,より豊かに」ということで,伝統を踏まえた上で,時代を先導する新しい流れを追求する姿勢を大切にすると伺っております.
 浦和レッズは,設立から25年が経ち,次の四半世紀に向けて動き出しているところで,まさに「伝統と革新の調和」を大切に進んでいかなければならず,我々が日々抱えているものをお伝えすることで,何かしらみなさまの心に残るようなお話しができるのではないかと考えております.
 私が今回お話しさせていただくテーマは「サッカーのちから~豊かな社会づくりに向けて」になります.サッカーはスポーツの中でも世界中で愛され,熱狂的なファン・サポーターが存在していますが,そこから見てもわかるように,人の心を動かし,生きていく上での活力を与える「ちから」があり,社会に豊かさを提供できると考えております.まずはサッカーにおけるヨーロッパと日本の現状をお伝えし,その上で,私たち浦和レッズが抱えている課題やその解決に向けて取り組んでいることを,お伝えできればと考えています.その中には,たとえば,サッカー選手が以前よりもアスリート化している現状などが出てきます.そうした波は,日本にも訪れていて,メディカル的な見地では,どれだけ正確に選手の日々の活動量,負荷を把握し,コンディショニングや競技力の向上に生かせるか,というテーマが生じています.これまで定性的に把握していたものが,科学の進歩によって定量的に測定できるようになり,不確実性を極力なくす流れになっているということです.そしてそれは競技面だけではなく,マーケティングなど,我々のビジネス的な面でも訪れています.私は自動車産業に従事し,海外を含めた工場管理や販売などをした経験もございます.そうした知見からも,サッカー界とみなさまとの違い,あるいは共通点をお伝えし,新たな気づきや学びを共有できればと思っておりますので,ぜひ,お付き合いいただけますと幸いです.
 よろしくお願いいたします.

特別講演2 講演概要

講演題目:「人生に関わるホルモンの話」
講師:埼玉大学大学院理工学研究科戦略的研究部門・教授,図書館長 坂井貴文氏

 私たちは,気温や湿度等の環境の変化だけでなく,社会生活を営むうえでも様々なストレスに曝されています.このような外乱があっても,常に同じ状態で活動が続けられるよう,体内では複雑な調節によって恒常性が維持されています.これは,脳や末梢神経を含む神経系,感染と戦う免疫系やホルモンを介する内分泌系が互いに協調しあって体内の変化を最小限になるよう調節している結果なのです.
 本講演では,恒常性の維持に重要な内分泌現象に焦点を当て,ホルモンが働く仕組みや,日頃あまり知られていないホルモンの作用についてお話しします.特に,近年の研究からホルモンの意外な作用が明らかにされて来たことを中心に,人生の様々な場面で働いているホルモンについて以下の三点を紹介します.

  1. ヒトの性別を決めるホルモンについて
    •  ヒトの性別は性染色体の組み合わせで決まることはよく知られていますが,性染色体と性別の決定の間にはホルモンが介在しています.これは,性別がホルモン濃度によって影響を受けることを意味します.性別が決定される仕組みと,性の多様性についてお話しします.
  2. 愛のホルモンについて
    •  最近の研究から,分娩時に子宮を収縮させるホルモンとして知られているオキシトシンや抗利尿ホルモンのバソプレッシンが脳に働いて信頼や愛情をコントロールすることが明らかになってきました.本講演ではヒトと動物のデータを紹介し,ホルモンが高次の行動にも影響を与えることを説明します.
  3. 空腹時の腹を鳴らすホルモンについて
    •  誰でも空腹時に腹鳴がして恥ずかしい思いをしたことがあると思います.この時には,十二指腸からモチリンと呼ばれるホルモンが分泌されて,胃から小腸へと向かう強い蠕動運動が起こっています.本講演ではホルモンが臓器の機械的な運動にも働くことを紹介します.
 これらの話を通して,ホルモンが我々の生活や人生に大きな影響を及ぼしていること知っていただければと思います.

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