LastUpdate 2016.8.1
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No.149 「同業者の見分け方」日本機械学会第94期企画理事
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日本機械学会の会員の方は、基本的にエンジニアの方であるかと思います。また、学生の方も多くいらっしゃるとは思いますが、将来はエンジニアとして活躍される方かと思います。あるいは、私と同じように大学において工学あるいは機械工学に係わる研究・教育に携わっている方も多いでしょう。日頃、上記の関係諸氏の皆様と接しお姿を拝見する機会を持つにつれ、上記の方々であることが一見して判断できる方が多くいらっしゃることに気づきました。このことは、エンジニアの方や工学に携わる方の行動に問題があると言うことでは全く無く、合理的な考えで物事を進めていらっしゃる結果、私がわかるようになったわけです。折角ですから、このコラム欄に気軽な話として記載させていただければと思います。なお、ここで言う同業者とは、広くエンジニアの方(理工系)、博士学位取得者、大学関係者、などです。同業者の皆様が以下に記載する内容と全てが一致することはまず無いとは思いますので、一興として読んでいただければと思います。ちなみに、私は当然ではありますが一致する傾向が強く、このソサエティの一員であることを誇りに思っております。
上記の方々、つまり同業者は気づかないうちに、ある種の行動を取ることがあり、そのことで容易に一般社会の中で見つけることができるのです。まず、私たちは合理的に物事を考えることが多いのです。よって、煩わしいことは避けたいと思い、実際、避けることが多いのです。つまり、常に快適な環境を欲しています。よって、服装や持ち物に関してある種のこだわりがあります。服装や持ち物と言っても各自好みがいろいろとあるかと思いますが、幾つか注目すべき点があります。一つは、鞄です。実は、同業者の方々は、荷物を運ぶことについても合理的に考えることが多いのです。よって、いわゆるリュック(デイパック)を日常の鞄として利用してしまいがちです。学生ならまだしも30才を越えた男性が、散策や山登りでも無いのにリュックを背負って仕事に出かけるのは、この分野の方に間違いありません。これは、学生の頃から重い荷物を持って通学し、研究室に入ると洋書や論文を持ち歩き、あるときからPCを持ち歩くようになったからだと思います。重い物を入れた鞄を片手で持つことほど、非合理的なことはありません。リュックに背負って持ち運べばとても楽ですし、姿勢を正すことにもなります。実に合理的です。私も以前はリュックを背負って通勤しておりましたが、このことに気づいてからは封印しております。そう、街中で赤の他人から仕事を見破られないためです。
次に挙げられるものは、靴です。同業者の方にも、リュックなど持たず、おしゃれなスーツに身を包んでいらっしゃる男性も多くいらっしゃいます。しかし、何故か靴がコンフォートシューズなのです。これも、歩くことを合理的に考えれば、着用する靴は高級な革底靴などではなく、移動手段の重要なアイテムの一つとしてコンフォートシューズを選択するかと思われます。特に、雨が多い日本においては、高級な革底靴は非合理的なものとなることは想像に難くありません。女性の目から見ると、素敵な男性の必須アイテムである高級な革靴は、残念ながら採用されないのです。
具体的な衣類について挙げると、特徴的なアイテムはジャケットではないでしょうか。やはり企業においてはスーツを着用することが多いために、ジャケットはカジュアルであると見なされます。よって、ある程度堅い場面でジャケットを着用されている方はこの分野に多いかと思います。また、何歳になってもジーンズをユニフォームとして着用される方も多いかと思います。引き締まった腹筋にジーンズはいいのですが、ある程度の年齢になりましたらちょっと厳しい現実が待ち受けていますので、避けた方が良いときもあるかと思います。
身につける物について述べましたが、持ち物についても特徴があります。例えばPCです。仕事として個人的に使用するPCがアップルコンピュータのマックである場合は、同業者の方である確率が急上昇します。広く使われていない電子機器を使うからには自分の意思があるわけで、更に仕事用として使っているのであれば、自由に選択できる立場でなければなりません。つまり、大企業におけるエンジニアではなく、自分で研究費を獲得し自分の判断で購入が決断出来る人となります。そうなると、大学関係者であることが高い確率かと想像できます。なお、私も生粋のマックユーザーです。PCについては使うタイミングも重要です。例えば、新幹線に乗車したとします。瞬時にリュックからPCを取り出しキーボードを叩き仕事を始める方がいらしたら、間違い無く同業者です。私が新幹線に乗車するときにそのような方をお見かけすると、いつも確信しています。
さて、ここで大学関係者について話をすすめてみましょう。大学教員は、何故か一般企業サラリーマンのような悲哀は漂っていません。やはり、半分自由業の要素をもっているためでしょうか、企業の方とは顔つきや雰囲気が違います。何故そうなのかはわかりませんが、そうなのです。多分、いつも若い学生と接していることと、重くのしかかるしがらみが少ないからだと推測されます。先日、国際線旅客機へ搭乗しましたところ、一目で大学教員であると確信した男性の方が隣でした。普段は隣席の方と話はしませんが、どうしても確かめたくて話しかけてしまいました。やはり、その方はT大工学部教授だった方でした。自分の眼力の鋭さを確認してしまいました。
先ほど、同業者の定義に「博士学位取得者、大学教授関係者」と挙げさせて頂きました。つまり、ここでは工学との関係は必ずしも必要としておりません。ある会議で経済学部教授の方とご一緒いたしました。その方は、ノーネクタイのスーツ姿で、颯爽とリュックを背負ってらっしゃいました。博士&大学教員の要件は文系まで適用できるようです。
最近は、若手のエンジニア・教員の方におしゃれな方がたくさんいらっしゃいますので、「違う」と思われる方も多いかと思います。これも時代の流れかと思いますが、この風習が廃れることなく継承して頂ければと思う次第です。