理科離れは小学生からケアしていかなければいけないといわれている。「理科好き」と答える割合は小学生、中学生、高校生と減少するという統計がある。医薬系は好調であることから、理工離れが顕著である。女子にいたっては、いまだに、希少といえる。授業時間が減り、授業内容も知識吸収型に偏りつつあるという中、思いつくままに書いてみた。
小学生と理科で思いつくのは夏休み自由研究などの宿題。秋口になると、市主催の理科展などで展示される。中には、"親の"努力賞みたいなものもあり苦笑。題材は、身近な虫や植物など観察主体が多いように思う。一方、理科展と比べると小規模ながらジュニア発明展というものが開催されている。まだ開催10回ということ。松本零士審査委員長というところが、気がきいている。一度見学したことがあるが、自分や家族が困っていることから題材を得ていて、着眼が面白い。「籠手乾かし台」なんていうものもあった。以上、小学生が理科に集中して取り組むことができるのは、やはり時間にゆとりのある夏休みに限定されるのだろうか。なんとか、日常的に触れ合う時間やきっかけが増えないだろうか。調べてみると「科学少年団」なるものが存在することを知る。関係者のボランティアによるものと思うが、その心意気に敬意。
中学生になると、部活やら携帯やら(?)で忙しくなる。学習面では、受験に関係無いものはあまり顧みられなくなる。無理なこじつけではあるが、携帯でメールを打つような手軽さを好み、理科に限らず、答えをすぐに得られないことに我慢できない、そんな側面を見かける。一方、この世代は、自分に関わることに敏感にアンテナを張っていると思う。自分の居心地のよさとか、ぴったりくるものを捜し求めている。感受性が高い世代であり、吸収力もとびきりである。彼らの心に響く発信があれば、理系への道が視野にとびこんでくるのではないか。
文理分けは高校に入ると間もなく開始される。また、高校では「物理」の授業が始まり、ここで好き嫌いが決定的になるようだ。卑近な例で申し訳ないが、二人の高校生の娘達には、「高校では物理がはじまるよ。物理はおもしろいよ。」とあらかじめさんざん吹き込んだおかげで、物理アレルギーにはならずにすんだように思う。先入観は大切かもしれない。このため、物理の授業も、入り口が大事と思う。いきなり力学に入るのではなく、こんなところで役に立っているというような切り口、あるいは、著名な科学者のヒストリーのようなものでも、わかりやすく魅力的な入り口があると良いのではないかと思う。
さまざまな分野で、たくさんの方々のご努力で地道な取り組みがなされているなか、勝手な思いつきを書かせていただいた。機械学会からの発信も、地道な取り組みのひとつとして、層を広げてゆくことが課題と考えている。
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