LastUpdate 2007.6.26

J S M E 談 話 室

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JSME談話室「き・か・い」は、気軽な話題を集めて提供するコラム欄です。
本会理事が交代で一年間を通して執筆します。

No.57 「講義で伝えたいこと」

日本機械学会第85期庶務理事
木村康治(東京工業大学 教授)


 講義を通じて,受講学生のみなさんに是非お伝えしたいと努めていることを書いてみます.
 (1) 夢と希望  大学は「夢と希望」を叶える場である.大学入学までは,卒業が次の学校の入学を意味していたのに対して,大学卒業(大学院修了も含めて)後には社会が開けている.受験への対応や試験成績に,皆等しく重きを置かざるを得なかった状況は一変して,大学では,世界が大きく拡がり,制約や枠のほとんど無いきわめて広い領域で活動することになる.これからは,目標も計画も各自が自ら選択・決定できる.あるいは,しなければならないのかもしれませんが,このような自由度の高い世界にいて,「夢と希望」に進んでいくことは,なによりの喜びになるでしょう.
 (2) 多様性  隣の人と,そして教室内のすべての人と,関心・理解の仕方・取り組み方等が違っていて良い.違っていて当然で,それがむしろ望ましい.講義を聴いて,とても感心したことや気にも止めなかったことは,皆違う,だから仲間で話し合うと視野が一気に拡がるだろう.
 (3) 理解を深める  「分かった」と思えるのはどういうときだろう.たとえば,よく考えて得心がいったり,相手に分かり易く説明できるストーリーや表現を発見できたときがある.だから,同じ数式や原理を対象にしていても,「分かった」は1回だけでなくて何回もあり得る.理解が深まることの愉しさは何事にも代え難い.そして,その経験は,新しい分野に取り組むときその理解の大きな一助となるだろう.
 (4) 結果よりプロセス  プロセスを大切にすることが,上記の(1)-(3)に共通している.自ら考え,様々な試みを行い,その結果や発見,疑問点を仲間に伝えよう.大いに語り合おう.
 このようなことを話しています.そして学生の皆さんと一緒に考えてみたいと思っています.また,上記のことは,私自身の教育・研究の取り組みにそのまま問われることになることを認識しつつ,一人でも多く,そして少しでも気持ちを伝えることができればと願っております.

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