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No.28 『創造と独創』日本機械学会第82期編修理事
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東京工業大学では毎年FD (Faculty Development) 研修会が開催されている.一昨年のFD研修会に参加した折,興味深い資料を目にした.それは東京電機大学学長,東京工業大学名誉教授の当麻喜弘先生の「無駄な話し 非創造に関する12章」という資料である.その中で当麻先生は真の独創を阻害する因子として次の12項目を挙げている.
(1) 研究テーマの必然性を厳しく問いただす. この12項目は日頃,研究活動に携わっているものとして大いに頷ける内容のものである.研究活動の多くは知的好奇心に基づくものが多く,この知的好奇心は必ずしも論理的に説明可能なものではない.最近,研究助成に対する説明責任として上記12項目が問われることが多くなったように感じられるが,角を矯めて牛を殺すことのないようにしたいものである.
浜松ホトニクス社長の晝間輝夫氏はある雑誌(*)で独創性に関して次のような発言をされている.
(1) そもそもの起こりは明治維新にあり,物事の本質的なことを入れないで,これを使うと便利だよという知識だけを取り入れてきた.技術開発でも模倣体質は染み付いてしまった.
古来,自然科学は哲学の一分野であったし,その原動力の大きな部分は知的好奇心によるものである.また,真の革新が自然科学によりもたらされたことは多くの事例が証明しており,欧米において自然科学が尊重されているのはこのようなことによるものと思われる.わが国が真の科学技術立国を果たし,産業界に真の革新をもたらすためには,基礎研究を担う分野に優秀な人材を集め,彼らの知的好奇心と自由な発想による研究を奨励する必要があるように思われる. (*):日経ビジネス,2002年4月22日号,p.86-89 |
Last Update 2005.1.11
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