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JSME談話室「き・か・い」は、気軽な話題を集めて提供するコラム欄です。
会長を含めて3人程度が交代で一年間を通して執筆します。


No.15 『駅構内での機械部品模型展示より』

日本機械学会第81期 会長
田中重穗(長崎総合科学大学 理事長)

 
 

 先日新橋の烏森神社界隈で友達と盃を交わした後横浜へ帰るべく、地下鉄都営三田線内幸町駅で切符を買い、改札口を入って一階下のホームに行こうとエスカレータに向かって歩いた所、通路の壁面に凹凸の大きなタイルがたくさん填め込まれているのを見つけた。
 近寄って見ると、地下鉄車輌に取り付けられている数多くの機械部品のタイル模型が貼付の写真の様に、絵画の如く、彫刻の如く、展示されているものであった。地下鉄事業を支えている機械部品について愛着の感じられる良い展示物だと感じ目をうばわれた。世の中の多くの事業で機械の果たす役割は大きく機械ユーザーとして機械の良否が事業の成否を左右する経験を多くすればするほど機械への愛着もしくは思い入れが強くなると思われこの様な展示物は、注意して見れば数多く見つけることが出来るにちがいないと感じた。

 一方機械メーカ側にとっても、画期的な製品、客先の期待に十分応えた製品、売れ筋の製品などについては、一入の思い入れがあり、それらについて、資料館、技術館、記念館などを設けその中に実物あるいは模型あるいは書き物資料の形で残す事は多く行われている。更にこれらの設備と併設される形でものづくり体験が出来る施設も、かなり存在している。
 日本機械学会としては、その様な夫々の企業が愛着を持っている製品、思い入れの深い製品で一般に展示している物の全国情報マップを整理し、求める人に対し判り易い形で提供するサービスをしてはどうかと考えている。但しその数は極めて多いと思われるので、まずは本学会の特別員企業で可能な所からあるいは希望する所から、情報提供をお願いして、データベースの整備をしてはどうかと考えている。
 これらのデータベースを活用して、小、中学生、高校生、大学生更には彼らの父母を含めた人々が記念碑的機械展示物見学ツアー企画をまとめるのを支援したり、見学ツアーと物づくり体験学習とのセット企画をまとめるのを支援したりすることで機械大好き人間の数を増やし、輪を広げる事が大いに期待出来ると思われる。
 この結果、本学会の特別員企業と機械大好き人間との接点も増えて来る事となり企業の業績向上にも長い目でみるとつながると期待される。
 特に21世紀の大きな課題の1つである。"環境と調和のとれた資源、エネルギー、物流、生活システムによる持続可能な循環型社会の構築"をするためには、機械工学、機械技術、機械産業は大きな役割をはたさなければならない。
 このためには、色々な学問領域、技術領域の夢多き機械大好き人間が大勢いる事が大切と思われ、この様なサービス環境の実現を心から願っている。

追記:第80期伊東誼会長及び技術と社会部門吉田喜一部門長のご指導で、日本機械学会「2002年度機械工学振興事業資金」援助で堤一郎(職業能力開発総合大学校)、河田耕一(高知工科大学)、三輪修三(元青山学院大学)を編集委員として発行された機械記念物―鉄道編(電気機関車・内燃機関車)−の鉄道編以外への今後の拡大展開はそれとして継続しなければならないと考えている。

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Last Update 2003.7.22

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