ロボット共生社会の基礎知識 第2回 人と接するためのロボット
産業用ロボットはすごい
ロボットはこれまで主に自動車や電機製品の組み立てに用いられてきました。
工場ではコンベアでモノが右から左へと流れていきます。ロボットはそのあいだで作業するので、床に固定されています。大きな機械ですので、人の安全を守るために基本的に「安全柵」と言われる柵で区切られていて、ロボットが動くときには人は中には入れないようになっています。
ロボットは非常に高精度に動きます。電子部品の組み立てに使われているロボットは、驚くべきことですがミリメートルどころか、100分の1ミリメートルの精度で動いています。
試しに棒を持って振ってみてください。その先を高精度に止めて、作業しないといけないのです。しかも、その棒が、複数の関節で繋がっていると想像してください。それが産業用のロボットです。
ロボットは高精度にプログラムされたとおりの動きをします。最近のロボットはさらに、カメラを組み合わせて作業対象を見ながら動くこともできます。
人と同じ空間で働ける協働ロボット
いっぽう、これまでとは違う方向の技術も求められはじめています。
前回、人手が足らなくなっていて、その代わりをするロボットが求められ始めているという話をしました。工場でもまったく同様で、これまで人が行っていた作業をそっくりそのままロボットで置き換える必要が出てきました。
そのために用いられるロボットは「協働ロボット」と呼ばれています。これまでのロボットほどの精度はないのですが、速度をゆっくりにし、センサーなどを使って安全性を確保することで、人と同じ場所で働けるようにしたロボットです。
そういうロボットが、人の動きを見て、人に合わせて動くことで、人の負担を減らせる工場も現れ始めています。これまで人手だけに頼っていた業界でも使えるロボットも出始めました。ですがまだまだです。本当に変わるのはこれからです。現実は想像を超えますので、将来の工場はもっと大きく変わっていくと予想できます。
柔らかい素材を使って柔らかく制御するロボット
さらに先には、どんなロボットが必要でしょうか。工場だけでなく、ロボットがいろいろな場所で人と本当に一緒に動き回るのであれば、これまでのような金属ではなく、柔らかいカラダを持ったロボットが出てくるかもしれません。
カラダの素材が柔らかいだけではなく、制御でも人に柔らかくあたることができるようになれば、これまでは使えなかった仕事にもロボットが使えるようになるでしょう。
動物のように柔軟性と筋骨格をうまく使いこなすロボットも出てくるかもしれません。適度な柔らかさと硬さを組み合わせたロボットを研究する分野を「ソフトロボティクス」と言います。
この分野は生まれてまだそれほど経っていません。柔らかいロボットがあったら、どんなことができるようになると思いますか。ロボットがもっと広く使われる技術になるには、皆さんの柔らかい発想が必要です。
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