2.1 第11回バイオエンジニアリング部門講演会を終えて

実行委員長   山田 幸生

機械技術研究所基礎技術部長

標記講演会が,副題に「21世紀の新産業に役立つバイオエンジニアリング」を掲げ,平成11年3月29日,30日,31日の3日間(うち31日は見学会),工業技術院共用講堂(茨城県つくば市)にて開催されました.本年は1月に講堂の改修工事が入ったため,3月開催の運びとなり,新年度直前のため多くの参加者が期待できないのではないかとの不安も多少ありましたが,主催者側の心配も何のその,多くの方々のご支援の下,盛会の中に終了することができました.参加登録者は実に335人,講演件数は205件を数え,平成4年に同会場で開催された本講演会前進のシンポジウム(第2回)の何と2倍強の規模となりました.新ためて,バイオエンジニアリングの学問分野の成長ぶりに感銘を受ける一方,思わぬ応募数の多さであったたため,予定の2日間の講演会とするために,セッション講演時間を従来の講演会に比べ3分切りつめざるを得ませんでした.多大な研究成果を短時間にご講演されるのはきつかったのではないかと察しますが,何れの室でも終始活発な質疑応答が展開されました.特別講演では,一日目に,松本元(理化学研究所)先生には,脳機能をバイオエンジニアリングの側面から捉えた魅力的なユーモアたっぷりのご講演をいただき,二日目に,梅谷献二(農林水産技術情報協会)先生には,昆虫を利用した産業に関する実に多彩な刺激的な内容を紹介していただき,何れのご講演も400人近く入る大講堂を埋め尽くすほどの方々が参加されました.また,フォーラムでは,一日目に,笠井浩氏,土肥健純先生,山内繁先生に,医療福祉機器開発のナショナルプロジェクトのお話,大島宣雄先生,大野忠夫先生,立石哲也氏に生体組織工学のお話について,二日目に,太田亮氏,大森繁氏,生田幸士先生に生体工学におけるマイクロマシンのお話,工藤成史先生,上田哲男先生,稲田喜信先生に,バイオモーティリティのお話について,何れもそれぞれの分野のリーダーとなられている計12人の豪華な面々の先生方に熱弁を振るっていただき,分野における現状と最先端のご研究のお話,および活発な質疑応答が展開されました.さらに,細胞・分子工学,環境モニタリング,健康機器・感イオマテリアル,宇宙生体医工学,人工臓器,医療福祉ロボット,リハビリテーション工学,スポーツ工学から成る10のオーガナイズドセッションをはじめ,軟組織のバイオメカニクス,医療工学,生体熱工学,福祉工学,硬組織のバイオメカニクス,生体信号と信号処理,昆虫と生体計測,モデリングとシミュレーション,生体流体工学から成る8の一般セッションが4室を使って行われ,部門初のセッションも含む充実した内容であったと思います.懇親会では,構内の食堂にて100名を越える皆様が参加されました.中澤克紀・機技研(前)所長の乾杯の音頭以下,参加者の皆様には,親睦の和を広げられるとともに,つくばの酒とともに気分をリフレッシュされたのではないかと思います.表彰式では,阿部博之(東北大)先生が功績賞を,大場謙吉(関西大)先生が業績賞を,さらに池田忠繁(名大)先生が瀬口賞を受賞され,何れの先生方も参加者から盛大な祝福を受けられました.見学会では,関東支部茨城ブロックとの共同企画にて,36名の見学者に2コースに別れていただき,1日を割いて土浦も含むつくばの研究所を参加者の方々に堪能していただけたのではないかと思います.また、その内7名の学生の方にも研究所の雰囲気を十分味わっていただけたのではないかと思います.一部時間調整が合わなくなるというハプニングもございましたが,見学説明の先生方には本当に熱心にご説明いただきました.その他に,講演会の内容の把握や交通や宿泊の確保に不便を感じていただかないようにホームページを充実させたり,保育室の設置など新しい試みも行われました.本講演会により,バイオエンジニアリングの研究がますます広い範囲で強力かつ活発に進められていることを確信された方も多いのではないかと存じる次第です. 最後になりましたが,特別講演およびフォーラムの講演者,司会者の皆様,座長の先生方,発表者・参加者の方々,見学会にてご説明いただいた先生方,および講演会に際し雑務をスムーズにこなし,様々なアイデアをいただいた実行委員,顧問,実務委員の皆様に,新ためて心から御礼申し上げます.

松本 元先生


梅谷献ニ先生



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