航空宇宙工学専攻の中で異端視されつつ、この研究を細々と行っています。呼吸におけるガス拡散の促進機構にアプローチしようという研究で、名誉教授の谷田好通先生(現東海大学)から初期のご指導を頂き、流れの実験と数値解析を始めました。これまで局所的にテーパー部を有する直管と、Y字分岐管を対象として、管内に水の振動流を流し、流れの可視化を行いました。また、染料を混入してその濃度分布を測定し、物質拡散の様子も調べました。同時に流れの数値解析も行っています。テーパー管の流れでは、振動流のレイノルズ数とウオマスリー数を種々変化させると、いろいろなパターンの渦が発生します。これらの渦が管内境界層のストークス層厚さに基づくレイノルズ数を用いるとうまく整理されることを見出し、5つのパターンを分類しました。物質拡散はテーパー部に剥離渦が発生する場合に飛躍的に促進されます。一方、分岐管では管内二次流れによる縦渦が発生しますが、この渦を詳しく観測すると共に、物質拡散への寄与を明らかにしつつあります。この分野では極めて基礎的な実験や数値解析により、大変興味深い流体現象を体験することができるので、非常に魅力的な分野だと思います。