昨年の3月に6年間継続したバイオエンジニアリングのフロンティア研究会の最後の例会を終え、新たな研究会を立ち上げることとなりました。「体系化されていない未開拓分野を好んで取り上げる精神」は残して、より自由に活動できる名前にしよう、といった意味から「生物機械システム研究会」と名づけました。当初私は、臨床医を多く呼び込んで特徴ある研究会が良いのでは、と進言していたのですが。なるほど、この方がなにやら面白い研究が飛び出しそうで考えるほどに楽しくなってくる名前です。
さて、第1回例会は「バイオエンジニアリングにおける最近の話題」と題して神戸大学工学部の安達先生がオーガナイズされ、平成9年9月9日に神戸大学滝川記念会館で開催されましたました。脳の話、人工関節のデザイン、生体材料の接着、血管内皮細胞、骨芽細胞、とバラエティーに富む内容でしたが、若い方々が多数出席されて、活発に質問をしていたのが印象的でした。
第2回は「人工関節用ポリエチレンの諸問題」と題して同年10月4日に京都大学生体医療工学研究センター(現:再生医科学研究所)にて開催させていただきました。前回と打って変わってこちらは人工関節メーカーなどからの企業研究者が多数参加され、製造側からの本音の話などが会場を盛り上げました。
第3回も同じく京大を会場として平成10年3月7日にバイオトライボロジシンポジウムと共催で開催いたしました。人工関節学会の翌日に開催されたために整形外科医師、材料研究者など多彩な顔ぶれで、いつものごとく歯に衣を着せぬ自由な討論が交わされました。
第4回は中川昭夫先生がオーガナイズされ、同年5月30日に兵庫県立総合リハビリセンターで開催の予定です。研究所見学を含め福祉介護とその機器に関する様々な企画が行われます。今後の高齢者社会において機械工学が果たすべき役割を主題としたことで、全国からの多数の方の参加が予測されています。
以上のように、現在までのところ比較的大人しい?主題でありますが、「未開拓分野を好んで取り上げる精神」を受けて、しだいに面白い話題にまで手を広げていく予定であります。乞うご期待をお願いいたします。
(富田)