当部門では、平成9年度の部門賞受賞者を下記のように決定し、第10回バイオエンジニアリング講演会(1998年、広島大学)において表彰致しました.
・功績賞 棚澤一郎氏:東京農工大学・教授(東京大学名誉教授)
・業績賞 山口隆美氏:名古屋工業大学・教授
・瀬口賞 小林俊一氏:信州大学・講師
功績賞を受けられました棚沢一郎先生は、日本のバイオエンジニアリング特に熱工学を基礎としたバイオエンジニアリングの草分け的な研究者のお一人です.先生は、いち早く皮膚の伝熱特性や温度感覚などの先駆的研究を手掛けられ、温熱生理学に対する工学的アプローチとして機械工学における新分野の可能性を示されました.現在の当部門における活性化は、棚沢先生に負うところが極めて大であります.
業績賞を受けられました山口隆美先生は、臨床外科医から転じて大動脈の発生する乱流の実験的研究を行い、さらに、粥状動脈硬化症などの血管病の発症進展における血流のもたらす力学的影響についての実験的および計算力学的研究に従事し、我国における生理流体力学研究をリードしてきたばかりではなく、国際的にも評価の高い研究成果を挙げてこられました.
若手研究者に贈られる瀬口賞は小林俊一先生が受けられました.先生は、新しい水中推進機構として、水ヘビの推進機構や真核生物のべん毛運動に注目し、それらを模倣した水中推進機構のシミュレーション解析ならびにヘビロボットに関する研究成果を挙げられました.これら質の高い研究成果から、益々今後の発展が期待されます.
第75期部門幹事 但野 茂
(第75期部門賞選賞委員長)