この度,瀬口賞を頂戴し,身に余る光栄と感謝しております.これまで御指導いただきました皆様に深く御礼申し上げます.
私がバイオエンジニアリングに関連する研究を始めたのは平成2年の長岡技術科学大学に助手として勤務してからであります.それまでの大学院生時代は油圧機器の潤滑を主に研究しており,流体を共通点とし,新しいテーマとして生物を模倣した水中推進機構の研究に着手しました.学生時代から御指導いただいております三宅 仁先生から,その年の夏に長岡技術科学大学で行われるバイオエンジニアリング部門第2回学術講演会をご紹介いただき,講演会の準備・運営についても三宅先生のお手伝いをさせていただきました.講演会直前の準備中に瀬口先生の訃報をお聞ききしましたが,その講演会が私の初めてのバイオエンジニアリング部門への参加,発表でありました.そして今,瀬口先生のお名前の付いた賞をいただきまして,本当に感慨無量でございます.
平成5年に信州大学繊維学部に転任し,同じ講座の森川裕久先生と一緒に研究しております.森川先生は以前から高速魚の遊泳機構に関連するご研究をされており,先生のご指導で,より広い視野で研究できるようになりました.また,ジョージア工科大のDr. D. N. Kuをご紹介いただき,Dr. Kuの研究室で平成8年から平成9年まで動脈狭窄部に関する研究を行うことができました.今まで取り扱ってきました生体外の流れとは異なり,生体内の流れに関連する医学関連のテーマでしたが非常に貴重な経験を得ることができました.これからも生体内と生体外の流れに関連する研究をさらに発展させていきたいと思っております.
瀬口賞には「今後の研鑽を期待して,これを表彰いたします.」と記されています.この賞の意味と,この受賞時の喜びを忘れずに,精一杯精進して行く所存です.これからも宜しくお願い申し上げます.