バイオエンジニアリング部門長 関西大学工学部 大場 謙吉 昨年度に引き続き、部門長をおおせつかりました。昨年就任時に掲げた、若手層の 質的、量的増大を図る、産業界からの会員増や部門行事への参加者増を図り、産官学 の連携を強化する、この分野の諸学会の連携と統合を図る、海外の学会や国際機構と の連携を図るといった課題の実現を目指して微力を尽くし、 バイオエンジニアリング 分野の研究の発展と部門の活性化に役立ちたいと考えておりますので、ご協力方よろ しくお願い申し上げます。 今年は日本機械学会100周年記念国際会議の一環として当部門のInternational Conference on New Frontiers in Biomechanical Engineering(組織委員長:谷 下一夫・慶大教授)が東京で開催されます。 来年はThe Third World Congress of Biomechanics(組織委員長:林紘三郎・阪大教授)が札幌で、The Fifth Japan- USA-China-Singapore Conference on Biomechanics(組織委員長:阿部博之・ 東北大教授)が蔵王で開催されます。これらの国際会議に部門として全面的に協力す るとともに、国際的な研究の活性化につながることを期待しています。 生物/生体は、1つのシステムとしての個体を形成する多種多様なサブシステムが さらにその内部に多種多様なサブ・サブシステムを包含するといった形の何層にもわ たる、高度に統合化された複雑な階層構造を持っています。生物/生体および生命現 象を総合的に扱うバイオエンジニアリングは、したがって、どの階層にアプローチす るかによって決まる多種多様な研究分野を包含しており、理工学、医学にまたがる 様々な分野に関連を持っています。このように当分野はどの専門分野からも参入でき るという間口の広さが大きな特徴となっています。 「バイオ」は21世紀の最も重要なキーワードの1つであります。今後の高齢化社 会において必要不可欠な福祉・介護・医療システムの構築のためにバイオエンジニア リングが果たすべき役割はきわめて大きなものがあるはずです。一方、地球規模の環 境汚染の進行に伴い、地球の生物圏(Biosphere)そのものの保持が重要な課題に なって来ました。ここでも、バイオエンジニアリングは重要な役割を果たすことが期 待されます。さらに、21世紀に残された知の最大のフロンティアがバイオ関連研究 であります。このようにバイオエンジニアリング分野の将来の活躍の場は広大な広が りをもっています。来世紀の学問、社会を支えるバイオエンジニアリング分野にさら に多くの研究者・技術者が参入されることを期待します。