運動機能系障害研究部部長 矢野 英雄 1. 国立身障者リハビリテーションセンター研究所運動機能系障害研究部の沿革とス タッフ 昭和59年10月1日、国立身障者リハビリテーションセンター研究所開設と同時に感 覚機能系障害研究部、福祉機器開発部ともに運動機能系障害研究部が新設された。運 動機能系障害研究部は骨関節障害研究室、神経障害研究室があり部長1名室長1名研 究員3名、非常勤研究員8名合計13名で構成される。 2. 研究成果と進行中の課題 運動機能系障害研究部 骨関節障害研究室: 1)生体材料に関する研究 合成ハイドロキシアパタイトの生体適合性、毒性お よび骨および皮膚など生体組織との接着能力に関す る基礎的研究を終了、骨直結義肢の開発を行う 2)股関節機能回復に関する研究 寛骨臼回転骨切り手術の技術開発を終了。現在コン ピュータ外科手術の基礎的研究及び水中歩行訓練で 破損した股関節の再建能力の評価、人工骨としての 合成ハイドロキシアパタイトの遠隔成績の評価,障害 の自己管理システムを開発する。 3)関節障害と装具に関する研究 GII膝装具の開発を終了し、これを改良して股関節症 用装具を開発する。 4)褥蒼に関する研究 褥蒼発生機序に関する動物実験を行い、褥蒼予防ベ ッドを開発する 5)脊髄損傷者の社会参加支援技術開発研究に必要な生体 情報モニター、インテリジェントシステムを開発す るため脊髄損傷者モデルで自律神経機能を評価する。 神経障害研究室 1)脊髄損傷者用動力装具ー荷重制御式歩行補助装置ーを 開発した。本装具の改良と装具を使った脊髄髄損傷者の 交互性2足歩行の残余能力を電気生理学的に研究する 2)脊髄反射におけるearlyresponseとlateresponseに関する 電気生理学的基礎研究及び2関節筋と1関節筋の筋活動パ ターンとシナージ、筋の伸張性および短縮性収縮の解析、 等を使って脊髄機能の解析を行う。この他、重力の生体 に与える影響を調べるため水中ForcePlateとFallPlateを 開発し、これを使って水中歩行中の抜重力、歩行中の抜重 力と筋活動の関係を電気生理学的に解析する。また、障 害者用住宅設計のため片麻痺、Parkinson病、脊髄損傷者 など障害者別の手すりと椅子の操作能力について力学的、 電気生理学的評価研究を始めた 3. 主要な研究備品および機材 開発と改良した動作解析システムとして、VICON、床反力計測器(水中床反力)、 Fall Plate、歩幅と遊脚立脚時間計測器、立位バランス計測器があり、褥蒼研究では Rabbit EarChamber,連続加圧システム、圧力計測ベッドシステム、連続ビデオモニ ター器、組織染色システム、アミノ酸分析装置、分光計、走査型電顕、環境制御室な どある。この他、MRI,脳波解析装置、SEP/MEP計測器、モビリチ解析室が共用で使用 している。 4. 研究交流 国内4大学2研究所と研究交流を行う。海外学術交流はイギリス,スイス,イタリア, ポーランドなど科技庁の2国間協定で連携した大学と交流がある。他に研究テーマ毎 にBoston,UCLA,Luisiana州立大学などと若干の交流がある。限られた人員で広い ニーズに応じた研究が求められ、必然的に多くの研究課題がある。研究効率から重力 とヒトの生理 を命題とした研究課題を設定してある。熱意のある外部研究員の参加 を歓迎する。
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