九州大学工学部 日垣 秀彦 7月20日から22日の3日間にわたって,初めての試みとなる若手研究者のための 夏季セミナーが,緑に囲まれた関西大学100周年記念セミナーハウス・高岳館で開催 された.我々九州勢は台風6号に追われながらの参加となったが,交通機関への支障 もなく,無事151名という多数の参加のもと,レクチャー6件と講演73件が行われ た.初日は土屋喜一先生の「ユニークな発想をするには」をはじめに3件のレク チャーが行われ,その後のレセプションパーティーにおいても同先生の「大場部門長 をはじめ,関西大学の実行運営にあたられた関係各位へ心腎なる感謝を込め,肝肺」 というユニークな合図に,合宿形式ならではの深夜におよぶディスカッション(?) が始まった.会期中はアトランタオリンピックを始め,プロ野球オールスター戦、全 英オープンゴルフ、大相撲名古屋場所千秋楽など気が散りがちなテレビプログラムの 中,(寝不足な)若手と(一部二日酔いの)教授陣の間で白熱した議論が展開され た!? 私とともに出席した九大整形外科の若手臨床医は,短い時間に淡々と進行される臨 床医学系の学会と比べ広範な内容で論理的に報告・討論される講演と充実した総括的 なレクチャーに,次回からも継続的に参加したいという感想を語っていた.研究報告 における私自身の興味としては,トライボロジーの領域では負の要因になりがちなマ イクロレベルでの体積効果を,マイクロマシーンの領域や昆虫・小動物の世界では流 体中で有効に利用しており,そのシミュレーションに関する研究やバイオミメティク スの重要性を新鮮に感じた.これからも,この夏季セミナーが学際的に開かれ,若手 研究者への萌芽的発想や自由な議論の場として拡充することを期待します.