新潟大学工学部 原 利昭 猛暑の中,7月25〜26日の2日間,新潟工業短期大学を会場として第4回バ イオエンジニアリングシンポジウム−感性豊かな社会を目指して−が開催されま した。前年に続いての暑い夏となり,多くの参加者は期待出来ないのではないか とする不安も多少ありましたが,主催者側の心配も何のその多くの方々のご参加 を賜るとともに盛会の中に終了することが出来ました。事前の案内通り,多くの 方々がノーネクタイの思い思いの服装でご参加,ご発表を賜り,主催者として心 から御礼申し上げます。また,新潟工業短期大学の下田 茂学長のご厚意によ り,冷房が完備された会場の提供をはじめ全教職員のご支援,ご協力をも賜り深 く感謝申し上げます。バイオレオロジー,リハビリと運動の解析,福祉と看護の 技術,スポーツの科学,感覚と感性,骨のバイオメカニクス,関節のバイオメカ ニクス,生体材料,軟組織のバイオメカニクスおよび生体のモデリングとシミュ レーションから成る10のオーガナイズドセッションをはじめ,多彩な内容のセッ ションが2日間4室を使って設定され,演題は実に127 を数えました。加えて2 つの特別講演および2つのパネルディスカッションも企画される等かなりきつい スケジュールとなりましたが,何れの室でも早朝8時30分から夕方5時45分ま で終始活発な質疑応答が展開された。本シンポジウムは,夏休みを利用して,出 来るだけ多くの参加者を得るだけではなく,臨床的研究との接点を更に多く見出 すことおよび大胆な理念や試みの展開を目指して企画しました。その一環とし て,初日に,我が国のバイオ部門の重鎮である林 紘三郎(阪大),立石哲也 (機械技研),西原克成(東大),蔦 紀夫(広島大)の4先生をパネリストと してお迎えし,「バイオエンジニアリングへの新しい提言」と題するパネルディ スカッションを実施するとともに刺激的で魅力溢れるバイオエンジニアリングの 将来像を,それぞれの専門の具体例を示して披露して頂きました。2日目には, 臨床医であり,バイオエインジニアリングに極めて造詣の深い,三宅 仁(長岡 技大),井上 望(ジョンズホプキンス大),富田直秀(京大),高井信朗(京 都府医大),鐙 邦芳(北大)の5先生をパネリストとして「臨床的観点からの バイオエンジニアリング」と題するパネルディスカッションを実施致しました。 臨床的に何が問題であるか,未解決の問題にバイオエンジニアは如何に取り組む べきか等を詳細にご紹介頂きました。次いで,工学系指定討論者との活発な討論 はなされたが,主催者側も心配したとおり90分の予定時間は余りに短すぎ,大い に反省した次第である。一方,初日の特別講演では,ジョンズポプキンス大学の Chao先生が,これからのバイオエンジニアに求められる役割とは何かについて, 米国の現状を交えて詳細な提言をなされた。2日目の特別講演「骨の成長と老 化」では,新潟大学医学部 高橋栄明教授に骨粗鬆症,メカニカルストレスと骨 の関連性等について,特に工学系研究者にも分かり易く,懇切丁寧なお話を頂い た。さて,本シンポジウムの最大のイベントは,言うまでもなく1日目終了後に 行なわれた懇親会であった。バイオ部門主催のシンポジウムや講演会始まって以 来の 100名を軽く越える多くの参加者を得ました。解放感も相俟って,新潟グラ ンドホテル内の会場は冷房が効いているにも拘わらず,大勢の参加者の熱気にや や押され気味であった。先ず冒頭に,松崎雄嗣バイオ部門長が簡単にと言いつつ も熱弁をフルっての挨拶。次に,表彰式に移り,山田 宏(名大)先生が瀬口賞 を受賞され,参加者から盛大な祝福をお受けになりました。次いで,Chao先生の 祝辞を頂いた後, いよいよ青木(当時,東医歯大)先生の乾杯の音頭で懇親会は 一気に盛り上がりを見せるに至った。会場には全国的に有名な日本酒などが各種 用意され,多くの参加者に改めて新潟の酒の良さを堪能して頂いたことと推察致 します。和やかに会が進行し,予定の時間も瞬く間にお開きの時間を迎えた。会 場を出ると,信濃川の川面をそよぐ心地良い風を受けながら,参加者はそれぞれ 新潟の夜を更に満喫すべく繁華街に繰り出した。 多くの演題を2日間で発表することによる時間的余裕のなさ,その他運営に行 き届かない面が多々あったことと思いますが,新潟の冷酒と銘酒の美味しさに免 じてご容赦賜れば幸いに存じます。終わりに演題募集に多大のご協力を賜りまし たオーガナイザーの皆様に深く感謝申し上げます。