1.バイオエンジニアリング部門の
  講演会活動に関する今後の方針

                                                    副部門長
                              関西大学工学部
                                        大場 謙吉

 バイオエンジニアリング部門発足から8年半を経過して,部門活動の中核とし
て重要な役割を果たして来た本部門独自の講演会活動についてもいくつかの問題
点が指摘されるようになって来た。そこで,この機会に見直しをするべきではな
いかという機運が高まり,1年半程前から様々な議論が非公式な形で成され,そ
のような状況下で,昨年(1995年)6月には松崎部門長より,副部門長である
私に対して部門の講演会活動について西暦2000年頃までのあるべき形について
検討し,会員の意見を取りまとめて見直し案を作成し,同年12月頃までに提出し
て欲しいという諮問があった。そこで,部門運営委員会およびアドバイザリー
ボードメンバーの先生方へのアンケート調査による意見の収集を行ない,その意
見を集約したうえで9月の機械学会全国大会の際の検討会において審議を行なっ
た。その結果,後述のような一応の合意が得られたので,部門長に答申案として
報告し,本年1月の運営委員会において了承された。ここに,現状のまとめ,問
題点,議論の経緯,今後の方針等について一通りまとめて報告する。


(1)現状のまとめと問題点

 年間スケジュールとしては、1月下旬にバイオメカニクスカンファレンス (BioMechanics Conference) とバイオエンジニアリングシンポジウム (BioEngineering Symposium) が各地区持回りで, 隔年に交互に開催されてい る。ただし,第1回BMC('88)は9月,第4回BES('95)は7月に開催された。企 画運営の主体は部門研究会,研究分科会である。現在までの開催記録を掲げる。 バイオメカニクスカンファレンス                〔開催地,実行委員長,開催日,発表件数〕 第1回 北海道大学(林・北大)1988.9.16-17 50件 第2回 大阪大学(瀬口・阪大,赤松・京大)1991.1. 29-31 53 件−特別講     演2件 第3回 東京工業大学(清水・東工大)1993.1.20-22 47件−特別講演2件 第4回 名古屋商工会議所(松崎・名大)1994.1.19-20 56件−パネルディス     カッション バイオエンジニアリングシンポジウム      〔開催地,実行委員長,開催日,発表件数〕 第1回 東北大学(谷・東北大)1990.1.22-23  107件−特別講演1件 第2回 工業技術院(立石・工技院)1992.1.30-31 97件−特別講演2件 第3回 福岡リーセントホテル(喜多村・九工大)1994. 1.20-21 119件−特     別講演2件 第4回 新潟工業短期大学(原・新潟大)1995.7.25-26. 127 件−特別講演2     件  3月中に全国各地で支部講演会・卒研発表会が開催され,その中にBE関係の セッションが含まれている。  3月末〜4月初旬には機械学会通常総会講演会が東京地区で毎年開催される。  7月下旬〜8月にはバイオエンジニアリング学術講演会が部門技術委員会担当 の下,各地区持回りで毎年開催される。ただし,'95 年は取り止め。当初の趣旨 は若手研究者・大学院生の研究発表を中心とする講演会であったが,現在は一般 講演会とまったく同じ性格になっている。現在までの開催記録を掲げる。 第1回 東京ダイヤモンドホール 1989.8.22 15件−パネル6件 第2回 長岡技術科学大学(三宅・長岡技科大)1990. 8.21-22 30件−特別     講演1件 第3回 早稲田大学(梅津・早大)1991.7.25-26 50件−特別講演1件 第4回 奈良県立医科大学(富田・奈良県立医大)1992. 7.23-24 47件−特     別講演2件 第5回 富士教育研修所(馬渕・北里大)1993.7.23-24. 44件−特別講演2件 第6回 伊豆長岡ハイツ(前田・順天堂大)1994.8.5-6. 41件−特別講演2件 10月頃には機械学会全国大会講演会が各地区持回りで毎年開催される。  その他に,日本ME学会大会(5月),日本バイオレオロジー学会年会(6 月), ASME Summer Bioengineering Confernce (隔年6月), 日本ME学会秋 期大会(10月), 日本バイオマテリアル学会大会(10月),日本臨床バイオメカ ニクス学会(11月),バイオメカニズム学会(11月),ASME WAM(11月)が 毎年開催されている。 現状の問題点としては *講演会が多すぎて,対応が難しい *似たような講演会ばかりで,特徴が無い *忙しいばかりで,講演会活動が部門の活性化,部門の拡大につながっていない *他部門企画および全国各支部企画のBE関係のセッションとの折り合いをどう  するか? *海外の学会(ASMEなど)の講演会,国際会議との関係は?  など,様々な問題点が指摘され,様々な改善案が提示され,議論された。その  結果,一応の合意を見たのが,以下の方針である。

(2)今後の活動方針

A) 部門独自の講演会としては,下記のように「バイオエンジニアリング講演   会」および「バイオエンジニアリング夏季セミナー」の2つを設ける。  「バイオエンジニアリング講演会」        (JSME Bioengineering Conference):    バイオエンニアリング分野の研究者の研究発表,情報交換の場として毎年   1月頃に各地区持回りで開催。部門の総力を集中し,表彰など部門の付随行   事を網羅する。本講演会は,これまで隔年に開催してきたバイオメカニクス   カンファレンス(4回開催)とバイオエンジニアリングシンポジウム(4回   開催)を統合したものであるので,これらの開催回数を継承して,1997年   1月に京都で開催予定の次回講演会は「第9回バイオエンジニアリング講演   会」とする。  「バイオエンジニアリング夏季セミナー」         (Bioengineering Summer Seminer):     若手研究者,とくに大学院学生を主体とした教育,啓蒙,親睦,研究発   表,情報交換の場として毎年(または隔年)8月頃に開催する。本セミナー   は従来のバイオエンジニアリング学術講演会(6回開催)を編成替えしたも   のであるから,この開催回数を継承して,1996年7月に高槻市で開催予定   の次回セミナーは「第7回夏季セミナー」とする。 B) 機械学会の春の通常総会講演会における部門企画の行事としては,特別講   演,フォーラム,ワークショップなどBioengineering(BE)周辺の研究   者をBE部門に引きつけるような企画を中心に据える。一方,秋の全国大会   講演会においては,BE分野のOrganized Session を積極的に企画する。   C) 海外の学会(ASMEなど)の講演会,国際会議との関係,機械学会の他   部門企画や全国各支部企画のBE関連のセッションとの折り合いをどのよう   にするかという問題については,いくつかの提案もなされたが,現段階では   まとまらず,今後も審議を続ける。  今回の活動方針は,BE部門の従来の講演会活動が,歴史的経緯の産物とはい え,バイオエンジニアリングシンポジウム,バイオメカニクスカンファレンス, バイオエンジニアリング学術講演会と同じ様な講演会が3つもあるために,いさ さか重複,錯綜,混乱の様相を呈していたものを交通整理をして,見通しの良い スッキリしたものにしたことに特徴があると思っている。  すなわち,単純化すれば,夏のセミナーは若手,とくに大学院生の教育,啓蒙 の場,冬のカンファレンスは部門の総力を結集した研究発表の場と各々の目的が 明確になったこと,また春の機械学会通常総会は特別講演,フォーラム中心,秋 の機械学会全国大会はOrganized Session の積極企画と,親学会の大規模講演 会に対する対応もかなりはっきりしたので,BE部門関連の研究者・技術者の年 間計画が立て易くなるのではないかと考えられる。もちろん,今回の活動方針は 講演会という箱の形を決めているだけであり,最も大事な箱の中身,研究発表の 良し悪しは私達部門構成員の研究・開発活動,教育・啓蒙活動にかかっているこ とは論をまたないところである。部門活動のいっそうの活性化によるバイオエン ジニアリング研究の隆盛の中で新しい世紀を迎えたいものである。

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