6. 研究会活動報告

 当部門では,組織紹介に示しました6研究会と1分科会の活動がなされてお
ります。開催内容等については,主催者から,もしくは部門報やメーリングリ
ストにより案内しております。本号では,2研究会よりご寄稿いただきました。

6-1 バイオエンジニアリングのフロンティア研究会

     
                              主査 赤松映明(京都大学工学部)
                             幹事 池内健(京都大学生医工研)

 本研究会に気軽に参加して自由に議論できることを運営方針としてきました。
登録会員は70名程度ですが,毎回の参加者は東京と広島の間から40名以上に達
しています。大学・企業のエンジニア,医師,学生が率直で白熱した議論を行
うことにより,バイオエンジニアリングの発展に多少とも貢献できたのではな
いかと自負しています。1995年の研究会の内容は次の通りです。

第7回研究会「医療と力学」4月15日     
1.関節の衝撃応答に関する研究(村瀬晃平)
2.頭部に加えられた衝撃に関するバイオメカニクス−
    特にスポーツにおける傷害の予防について− (南部
    敏之) 
3.平面衝撃波の生体組織と生体細胞に及ぼす影響とそ
  の応力波伝播の数理モデル(玉川雅章)
4.人工膝関節用ポリエチレンの疲労摩耗(富田直秀)
5.膝靱帯再建術とバイオメカニクス(高井信朗)
6.犬腰椎の後側方固定術(植田百合人)

第8回研究会「医療と力学」6月3日
1.せん断力(オリフィス流れ)および衝撃波による溶血(玉川雅章)
2.血球の変形・破壊および凝血塊形成へのせん断効果 (橋本成広)
3.赤血球老化に伴う赤血球のレオロジー変化(志賀健)
4.溶血・凝血と生体適合材料(筏義人)
5.人工臓器における血液凝固と溶血(舟久保昭夫)
6.遠心ポンプにおける血液凝固と溶血(築谷朋典)
7.ロータリーポンプによる溶血および抗血栓性に関す
  る実験的検討(妙中義之)

 今年の秋には第9回研究会を大阪方面で開催できそうですので御期待くださ
い。これまでは医療に関係した内容が多かったのですが,今後は「フロンティ
ア」の名前にふさわしい,多少過激な企画を立てたいと考えています。良い案
がありましたら主査または幹事にお教えいただければ幸いです。

6-2 生体システムの解明とその応用に関する研究会

生体システムの解明とその応用に関する研究会の活動報告と,会の設置期間延長並びに名称変更のお知らせ
 「生体システムの解明とその応用に関する研究会」は,平成2年11月に日
本機械学会バイオエンジニアリング部門の1研究会として発足し,徳田正孝主
査(三重大学工学部),田中英一幹事(名古屋大学工学部)の下で,バイオサ
ロンをはじめとして10回ほどの研究会を開催し,東海地区における企業,官
公庁,大学における生体工学に関する研究者の間の情報交換の場としてその役
割を果たして参りました.その間,研究会の講師あるいは聴講者として,また
研究会の案内状送付等に関し, バイオ部門会員および職員の皆様方には種々
のご支援,ご鞭撻を賜り,誠に有り難うございました.

 さて, この研究会は,平成7年3月31日をもって設置期間の一応の期限
を迎えました. しかし,東海地区における生体工学関連の研究者の交流の場
を引き続き維持して欲しいという声が会員の中に多くあり,これに応えて会
の設置期間の延長を部門にお願いいたしました.平成7年3月30日開催の部
門運営委員会にてこの件が審議され,平成9年3月末までの延長が認められま
した.これを機会に役員も交替し,田中英一主査(名古屋大学大学院工学研究
科),山田宏幹事(名古屋大学大学院工学研究科)の新体制で臨むことになり
ました.また前主査の徳田正孝先生より会の名称に関するご示唆を頂き,会の
名称も「生体機能の解明とその応用に関する研究会」と改称いたしました.年
2,3回のペースで研究会を開催し,またより地元に密着した会の運営をして
まいりたいと考えております.今後とも皆様方のご支援,ご鞭撻を賜りますよ
うお願い申し上げます.

 この新体制の下での第1回の研究会を,早速4月24日に豊田中央研究所に
て開催いたしました.豊田中央研究所の石山慎一氏に企画をお願いし,東海・
材料の力学談話会と共催で開催したものです.「生体力学の基礎・応用」とい
うテーマの下で,下記の4件の話題提供を頂き,討論を行いました.
1.「自動車衝突安全のための人体耐性研究の現状」
        (株)豊田中央研究所 機械2部 石山慎一 氏
2.「大腿骨の骨密度と破壊強度」
        国立療養所中部病院 整形外科 奥泉宏康 氏,原田敦 氏
3.「頭部衝撃時の脳振動モード解析」
        名古屋大学医学部 脳神経外科 口脇 博治 氏
        名古屋工業大学工学部 知能情報システム工学科 石井直宏 氏
4.「心臓壁内の固体要素と液体要素の力学的挙動」
        名古屋大学大学院工学研究科マイクロシステム工学専攻 山田宏 氏
 講演終了後懇親会を開催し,ご講演いただいたテーマや関連テーマについて
のより深い討論・情報交換を行い,なごやかなうちに会を終了いたしました.
                                                  [文責 田中英一]

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