一般社団法人日本機械学会
イノベーションセンター 研究協力事業委員会所属分科会

RC261


 
1. 分科会名称

 『歯車装置の設計・製造・評価における技術の高度化に関する調査研究分科会』

2. 主査名  北條 春夫 (東京工業大学
3. 設置期間  2013年4月〜2015年3月(2年間)
4. 活動目的・内容

 
 
機械システムは,構成するエンジンやモータのような原動機と,目的に合った仕事をなす作業機が視線を浴びることが多いが,それらの間で原動機の力と運動を適切に伝達・変換する伝動装置が欠かせない.近年では,原動機の技術開発が進み,伝動装置を省略してダイレクトドライブ化する試みも多くあり,電車や自動車,風力発電装置などでその試みを見ることができる.しかし一方では,全体のコスト,効率の問題あるいは構造上の問題を考慮した結果,小型の原動機を高回転速度で運転して減速機を用い,出力側では低速・大トルクを実現する方がよいと判断される場合も多いようである.
その結果歯車は,構造が簡単で寸法が比較的小さく,伝動が確実で正確な角速度比が得られ,長期の使用に耐え,動力損失が少ない,などの理由から,伝動装置の中の主役の座にあり,今後もその状況が劇的に変わる要因は見あたらない.しかし,近年ではコストダウンの強い要請の波をまともに受け,最小のリソースで最高の性能を実現することが求められている.すなわち,高い信頼性を維持したまま,軽量かつコンパクトであることが求められる.翻って見れば常に高強度化を図らなければならない.そのうえで,低振動・低騒音,低い動力損失が求められ,そして低コストを実現しなければならない.
これらの要求は,日本がものづくりを得意とし経済を牽引している,自動車,鉄道,エネルギー機械,産業機械等の分野において,グローバルな競争の中で生き残りを図る以上,日々真摯に取り組んで解決を図らなければならない重要な課題である.RC241,RC251をはじめとするこれまでの研究分科会でも,この観点から設計法や,効率改善の方法等についての整理をし,また,超高強度化に向けての技術課題の解決方法について調査研究を実施してまとめているが,完全に解決できているわけではない.これは,研究課題が技術のスパイラルアップに起因し,そのスパイラルの進展が加速していることにも一因がある.
また,技術の蓄積に対して,若い人的資源が十分に供給されず,技術を吸収しきれていないという問題も存在する.
そこで,当分科会では技術の現状について整理しつつ,新たな技術情報をタイムリーに提供して,共有することに大きな目的を置き,技術の高度化と題して継続性を維持しつつ活動を行うこととする.このため,以下の調査研究を実施すると同時に,若手技術者に向けて技術情報交流の場を提供する.
@歯車の超高強度化技術に関する調査研究
A歯車装置の運転性能の評価と改善技術の高度化に関する調査研究
B最新技術情報の収集と分析
また,年に4回の全体分科会(内1回は見学会を予定)を開催し,上記の情報展開をすると同時に,最新の技術に関する話題提供と議論を行い,また特に若手技術者間の技術交流の場を提供して,オールジャパンの技術力と活力の向上に資する.

5. 期待される研究成果 
 現在進行中のRC251分科会では,高強度歯車に特化した新たな強度評価法である接触・曲げ疲労試験(Contact Bending Fatigue Test)を提案して,強度評価法の新展開を目指した研究を実施している.この方法は,歯車の歯には曲げ応力と強い歯面接触応力の両方が生じるという特殊性に基づいて提案された.その試験方法は実現できているが,これによる強度評価試験を継続実施してその有効性と有用性を検証するには至っていない.さらにこの試験を継続させれば,歯車材料の強度をより的確に評価できるようになる.また,この成果も考慮に入れて,精度の高い超高強度歯車の設計指針の構築が期待できる.
一方,歯車装置の性能として,振動や動力損失についても,その性能向上に関する技術は多く存在するが,その整理が十分に行われているとは言い切れない.また振動騒音低減においても,予測精度は今一つ明らかではないし,動力損失の議論をしても,これが問題となる運転条件(速度や寸法など)のクライテリアは不明確である. 
そこで,今後,関連技術者が減少する中で,何ができて何ができないかを整理し,一部は研究を実施することにより,現状技術の位置づけを明確化して,それぞれの分野における技術のベンチマーキングに資することができる.
6. 参加負担金  25万円(年間)×2年 
7. 問合せ先


 北條 春夫 東京工業大学 精密工学研究所 教授
  (主査)  TEL: 045-924-5078, FAX: 045-924-5079, e-mail: hhoujoh@pi.titech.ac.jp
        住所: 〒226-8503 神奈川県横浜市緑区長津田町4259,R2-33 (414号室)


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