製造業の中心に位置する機械工業では種々の動力伝達装置が使用されている。その中で歯車装置は信頼性,負荷容量の大きさ,効率など多くの面で他の伝動装置よりも優れており,産業機械,輸送機械等に数多く使用される。とくに近年では,産業用ロボットや医療・福祉機器,エネルギー創出機器などの新たな機械装置・システムへも積極的に使用展開されている。その一方で,歯車産業界の競争は非常に激烈であり,このような中で日本の歯車関連産業が競争力を維持し発展するためには,従来にも増して小型軽量,高負荷能力,高効率,高静粛性など高性能の歯車装置を低コストで製造するための技術の進展が不可欠である。また,それを担う技術者・研究者を継続的に育成することも重要な課題である。
このような社会的背景や課題のもと,日本の歯車技術と産業の新たな発展に寄与するためには,産業界の技術者と大学などの研究者が協力して活動を行い,課題克服に努力することが重要である。本研究分科会では,従来
設計法の明確でない歯車損傷への対応方法の調査検討,歯車および歯車装置の高効率実現のための調査と提案,歯車装置のメンテナンス手法,異常の予兆検知に関する調査研究,最新の歯車設計・製造に関する最新技術の情報収集や分析などを実施し,歯車装置のさらなる高性能,高機能実現のための設計・製造技術の向上を目的とした調査研究分科会を設置して活動を行う。
上記の目的を達成するために運営委員会を設置して以下に示す研究を行うとともに,参加会社全員が出席する全体分科会を年4回程度企画・実施し,歯車装置の開発・設計および使用の現場に役立つ情報を提供して行く。
なお,研究者側運営委員は歯車装置関連の技術研究・開発を推進している主要な大学(東北大,東京工業大,早稲田大,京都大,京都工繊大,摂南大,岡山大,岡山理科大,鳥取大,広島大,九州大)および主要な企業(トヨタ自動車,日産自動車,マツダ,コマツ,日立製作所,IHI,川崎重工,住友重機,三菱重工,出光興産,大岡技研 ほか)で構成する。
【上期 第1年度(2009年4月〜2010年3月)】
@調査研究の実施
1)設計法の明確でない損傷への対応方法の調査研究
設計法の明確でない歯車損傷モードと対応方法の調査,事例収集
2)歯車・歯車装置の高効率実現のための調査研究
歯車・歯車装置の効率問題,効率向上の調査,事例収集
3)歯車装置のメンテナンス手法,および異常の予兆検知に関する調査研究
メンテナンス手法,異常の予兆検知の調査,事例収集
4)歯車設計・製造に関する最新技術の情報収集と分析
国際会議論文抄録集作成,先端・最新歯車研究論文調査
A全体分科会の開催
1)上記の調査研究活動で得られた技術情報の提供
2)見学会,情報交換会の実施
【下期 第2年度(2010年4月〜2011年3月)】
@調査研究の実施
1)設計法の明確でない損傷への対応方法の調査研究
歯車損傷モードの調査のまとめ,および設計法の見直し・提案
2)歯車・歯車装置の高効率実現のための調査研究
高効率実現のための調査のとりまとめ,および高効率手法の提示
3)歯車装置のメンテナンス手法,および異常の予兆検知に関する調査研究
調査したメンテナンス手法,異常の予兆検知方法の評価とまとめ
4)歯車設計・製造に関する最新技術の情報収集と分析
国際会議論文抄録集作成,先端・最新歯車研究論文調査とまとめ
A全体分科会の開催
1)第1年度の内容に加えて,調査研究中間報告会,最終成果報告会実施
2)見学会,情報交換会の実施
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