|
1. 分科会名称 | 『エレクトロニクス実装における信頼性設計と熱制御に関する研究分科会』 |
2. 主査名 | 于 強(横浜国立大学大学院工学研究院助教授) |
3. 設置期間 | 2004年5月〜2006年4月までの2年間 |
4. 活動目的・内容 |
システムインパッケージなどに代表される次世代実装技術の開発に伴い,電子デバイスはますます高密度化,高集積化,複合化と携帯化している.これに伴い,
デバイス内部配線,積層膜,マイクロ接合などの強度信頼性が新しい発展における重要なキーテクノロジーとして認識されつつある.さらに燃料電池,ハイブ
リッド自動車における実装部品の使用量の増加などによって電子機器はより一層厳しい使用環境に晒される。そのような観点から電子実装における熱制御技術の
高度化も求まれている.また,表面実装から3次元実装技術への移行に伴って,これまで独立して評価及び設計を行ってきた電気,電磁,熱,及び信頼性の諸問
題においてバランスを考慮しあって総合的に設計する技術も重要な課題として浮かび上がっている.このような電子デバイス,実装技術の新しい動向に対応する
ために本研究分科会を設置し,エレクトロニクス実装における信頼性設計と熱制御に関する基本技術を開発する.すなわち,電子デバイスの内部配線および超薄
膜構造の強度評価法を開発する.接合技術については鉛フリーとACFといった環境調和型の接合方法の信頼性,及び携帯端末機器の落下衝撃などの動的負荷条
件などにおける実用的な信頼性評価手法を開発するとともに,上流設計段階における信頼性設計の基本的な方法論を確立する.また,電子実装の熱制御・設計に
関してはこれまで検討してきたビルトアップアプローチに基づいて現場の技術者に役に立つ合理的な設計手法を構築する.さらに,このような技術課題の解決に
よって,信頼性評価・設計における基準化についても取り組む.以上が本研究分科会の設置目的である. そして,上記目的を達成するため,本研究分科会においては次のような具体的な内容を実施することを計画している. (上期/第1年目) ・フリップチップにおける樹脂接合部のはく離強度評価の調査研究 ・部品内蔵基板に実装された高周波回路に及ぼす熱応力の影響に関する調査研究 ・電子部品内部の三次元接合角部からのはく離評価に関する調査研究 ・鉛フリーはんだなどによって代表される環境対応型材料を用いたマイクロ接合部の信頼性評価 手法の確立 ・ビルドアップ基板のめっき・配線,および金バンプなどの接合部熱疲労寿命評価手法の確立 ・落下衝撃負荷を受ける電子部品の接合信頼性の評価手法の確立 ・ビルトアップアプローチによる熱設計の応用に関する調査研究 ・電子機器の冷却ファン性能と解析手法での扱い方の調査研究 ・モデル筐体による筐体内の流れの温度に関する評価手法の確立 (下期/第2年目) ・電子部品の三次元異種材接合角部のはく離を定量的な評価手法を確立する. ・異方性導電樹脂,樹脂のはく離を定量的に評価し,はく離防止設計手法を確立する. ・基板に内蔵する能動部品の回路特性に対する熱応力を正しく評価,測定し,能動部品の特性を 損なわないための設計法を開発する. ・上流設計段階におけるマイクロ接合部の疲労信頼性設計手法を検討する. ・電気設計と熱設計の統合調査研究を行い,電気設計と熱設計の統合について検討する. ・電気・電磁・熱・信頼性などの諸問題における統合設計支援手法の検討を行う. ・上流設計のためのマイクロ接合信頼性のデータベースを構築する. ・熱設計における解析事例の収集とデータベース化を行う. ・電子機器熱解析のための解析手法の事例と実験データ集をまとめる. |
5. 期待される研究成果 |
工学的効果:(1)電子デバイスの内部配線,薄膜などの
はく離信頼性評価技術の確立, (2)電気特性に対する応力の影響に関する評価方法の 確立, (3)疲労き裂進展などを含めたマイクロ接合部の疲労信頼性・衝撃信頼性評価と上流設計におけ る信頼性設計手法の確立, (4)BUAによる熱設計手 法の確立, (5)電気設計及び熱設計の統合化手法の確立, (6)電気,電磁,回路,熱,及び信頼性の設計を統合的に行う手法の検討 工業的効果:本研究会の研究成果は,評価手法,設計手法,ソフトウエアおよびデータベースとし て企業側委員に還元され,これらが実際のエレクトロニクス実 装現場において広く使用されること が期待される. さらに,一部の成果は業界団体の規格設定の基礎データとなることが期待される. |
6. 参加負担金 | 50万円(年間) ×2年 |
7. 問合せ先 | 于 強 横浜国立大学大学院工学研究院システムの創生部門 システムのデザイン分野 〒240-8501 横浜市保土ヶ谷区常盤台79-5 TEL:045-339-3862 FAX:045-331-6593 E-mail:qiang@swan.me.ynu.ac.jp |