デジタル設計時代の現在、すでに多くの
CAD/CAEソフトがある。しかしこれらは、次の点で未だ十分とはいいがたい。 ・
設計初期で設計仕様がそろわないときのCAD/CAEの適用は困難である。 ・
有限要素法を代表とするCAE技術では、燃費、などの解析は困難である。 ・
汎用CAEソフトでは大規模問題の並列処理に十分に対応しきれない面がある。 ・
現在のCADシステムでは、トポロジーやトリムの扱いは困難、データ量が多いという問題がある。 本研究分科会ではこれらの課題を解決すべく、RC188
「次世代設計・製造法を可能とするCAD/CAM/CAE/モデル化技術に関する研究分科会」などを通して産業界と研究者の相互交流で得られた成果をもとに、 ・
曲線、曲面表現に優れたサブディビジョン法に、飛び飛びの設計仕様を補間するモーフィング技術の推進 ・
粗密をコントロールできる四角形及び六面体メッシュ生成技術の推進・
独自のニューラルネットワークをベースとした最適化解析技術の推進 ・
トポロジーtCADやサブディビジョン曲線・曲面生成技術を用いたCAD技術の推進 ・
自在に詳細度を制御できるCSRBF(Compactly Supported Radial Basis
Functions)を用いた独自のアニメーション技術の推進 ・ 独自の機能モデルの推進 ・
独自の部分構造合成法をベースとした並列処理技術などPCクラスター技術の推進
そしてこれらの国産の CAD/CAEソフト・技術を随所に市販のCAD/CAEシステムに組み込み設計の効率を上げるなどの活動を実施する。さらに、これらの活動を通して、今後のこの方面の方向性を明らかにしていく。具体的には次のような活動を行う。 ・
研究者側から機能モデル、モーフィング技術、サブディビジョン法などについて平易な解説を行い企業側の理解を図る。 ・
企業側から例えばエンジンの現行設計法を紹介し、機能モデルによればどのような設計形態や構造体になるか、またCSRBFやサブディビジョン法などでエンジンを表現するための技術課題を明確にし、合わせてサブディビジョン法によりメッシュ生成がどれほど効率が良くなるかなど具体的な例をもとに技術検討を進める。技術検討事項は下記の通り。 1)
モーフィング技術を駆使した設計初期のCAD/CAEの利用率の向上に関する検討 2)
トポロジーCAD技術やサブディビジョン法を用いた新しいCADの構築設計への応用 3)
PCクラスターを用いた部分構造合成法振動騒音解析技術、新しい高効率・高精度非線形有限要素解析技術、最適化解析技術などの充実と設計への応用 4)
新しいモデル化技術である機能モデルの設計への応用 5)
上記の技術検討とともに、企業のかかえる代表的な問題に対してフィージビリティスタディも行なう。
【期待される研究成果】 設計・製造現場においては、できるだけ迅速に正確なモデルを作成し、特性などを設計製造前に把握しえることが重要である。これに関し、本調査研究で次の成果が期待される。 1)
いかなる複雑な現象に対しても機能モデルを作成し、明確に因果関係を分析するノウハウの把握 2) NURBS
やB-Splineなど、パラメトリックな曲線・曲面理論に基づいた場合では困難な良好なメッシュ生成をサブディビジョン法を使って達成するためのノウハウの把握 3)
サブディビジョン法、CSRBF(Compactly Supported Radial Basis Function)関数、を使った、データ量の非常に少ない立体再構成法やトポロジーCADなど新しいCAD技術の把握 4)
遺伝的アルゴリズムやニューラルネットワークを用いた設計最適化技術の把握 5)
部分構造合成法やメッシュレス技術などに基づく新しい構造解析技術の把握 6)
拡張ドローネ法や六面体メッシュ生成技術などの新しいプリプロセッサー技術、CSRBFを用いたモーフィング技術などのポストプロセッサー技術の把握
|