熱工学コンファレンス2012開催報告

実行委員会委員長
富村 寿夫 (熊本大学)

 今年度の熱工学コンファレンスは,熊本大学 黒髪南キャンパスにて,平成24年11月17日(土)と18日(日)の2日間にわたって開催され, 465名もの多くの皆様にご参加いただき,学術講演264件,懇親会参加者も180名を超える規模となりました.

 今回のコンファレンスは,11月13日(火)から15日(木)の3日間,長崎で開催されたThe Third International Forum on Heat Transfer (IFHT2012), 同じく19日(月)から22日(木)の4日間,New Zealandで開催されたThe 23rd International Symposium on Transport Phenomena (ISTP-23)の間に挟まれたスケジュールとなり, 準備段階では,参加者数の減少を心配していました.しかし,オーガナイザーの皆様の多大なご尽力のお蔭をもちまして,予想を大幅に上回る盛会となりました.オーガナイザーの皆様には,重ねてお礼申し上げます.

 九州・沖縄地区での開催は,前身の熱工学講演会から数えて,10年ぶりとなります.3年前,山口大学・常盤台キャンパスで開催された熱工学コンファレンス2009の会場で, 京都大学・吉田先生ならびに慶應義塾大学・菱田先生から,コンファレンス2012の熊本大学での開催についてお声掛けをいただきました. 当時,九大から転任して1年足らずでしたので,一瞬ご返答に躊躇しましたが,熊大には,過去,第36回日本伝熱シンポジウム(平成11年5月)ならびに2006年度年次大会(平成18年9月)を開催した実績とノウハウがあり, またその経験を積んだ多くの教員がいることを考え,喜んで開催させていただくことにいたしました.

 コンファレンス初日は,前日までの天気とは打って変わり,早朝から生憎の強い風雨に見舞われましたが,熊本駅前から交通センターを経由する臨時バスなどをご利用いただき, 大きな混乱もなくスタートを切ることができました.また,講演会場として工学部2号館全館を利用し,計11室を用意しましたが,いずれの会場でも活発な議論や意見交換が行われていました.

 今回,開催地ならではの試みとして,工学部技術部のご協力をいただき,初日の11時から14時30分の時間帯に,国指定重要文化財であるともに日本機械学会の機械遺産第2号に認定されている 工学部研究資料館の開館を実施いたしました.館内には,明治から大正期にかけて購入された11台の工作機械群が動態保存されており,短い時間ではありましたが, 80名を超える方々にご見学いただいたと伺っています.また,もう一つの新しい試みとして,九州大学の高松先生,伊藤先生,濱本先生が企画された 「OS19 熱工学ギャラリーコレクション」が,2回目となる今回は,ランチョン形式で実施されました.このセッションの趣旨は「論文には載せられなかった動画や教育に効果的な動画や画像をここで発表し, 多くの人に使用してもらうことを目的として,その公開方法や新しい電子出版の方法を検討する」ことにありますが,用意した100食の弁当がほぼ完売状態でしたので,実数では100名を超える皆様のご参加があったものと思います.

 午後のセッション終了後,15時30分から,工学部百周年記念館にて部門賞・一般表彰贈呈式が執り行われ,引き続き16時から,熊本大学・伊藤重剛先生による「五高記念館に見る明治気質」と題した特別公演会が開催されました. 先生は建築学科の教授を務められていますが,本学の国指定重要文化財である五高記念館の館長も兼務されており,平成17年から,五高記念館の平日開館を推進されています. 前段の30分の講演では貴重な写真や建築図面などを多用した分かりやすいお話をしていただき,後段の1時間で,ご講演いただいた五高記念館を実際に見学する機会を設けていただきました. 参加者の皆様は,夏目漱石やラフカディオ・ハーンなどが実際に教鞭を執った復元教室に佇まれ,明治の時代の教育に,それぞれの想いを馳せられたことと思います.

鹿本農業高等学校・郷土芸能伝承部の皆様による山鹿灯籠踊り 熊本大学学長・谷口 功先生からの歓迎のご挨拶
熱工学部門長・近久先生による乾杯のご発声 熊本大学工学部長・里中 忍先生によるお開きのご挨拶と一本締め

 夕方18時30分から開催された懇親会は,山鹿市の鹿本農業高等学校・郷土芸能伝承部の女子部員の皆様による山鹿灯籠踊りのご披露で始めさせていただきました. 清楚な和服と和紙だけで作られた灯篭を頭にのせた幻想的な踊りに,うっとりとされたのではないでしょうか.その後,熊本大学学長・谷口 功先生からの歓迎のご挨拶, 熱工学部門長の北海道大学・近久先生からの乾杯のご発声をいただき,アルコールを片手に,久しぶりに旧交をあたためていただけたものと思います. 途中,部門賞・一般表彰受賞者代表として,神奈川大学・庄司先生のスピーチ,さらに次期コンファレンス実行委員長の弘前大学・伊藤先生から熱工学コンファレンス2013の開催案内をいただきました. 最後に,予定時間を30分過ぎた9時,熊本大学工学部長・里中 忍先生の一本締めでお開きといたしました.

 本コンファレンスを実施するにあたり,前年度ご担当の静岡大学・中山先生ならびに桑原先生から開催に関する貴重な資料をお送りいただきました. また,日本機械学会総務グループの大通千晴様には,コンファレンスで使用する備品などの準備と送付,早朝からの受付業務,運営に関する助言など,様々な場面でお助けいただきました. この場を借りて厚くお礼申し上げます.さらに,幹事の小糸准教授を中心とした若手実行委員会のメンバーならびに熱流体系研究室の学生諸君の努力と奮闘に心から感謝いたします.

 最後になりましたが,熱工学部門広報委員長の明治大学・中別府先生から,本開催報告に掲載した写真のご提供をいただきました. 実行委員会のメンバー誰もが,コンファレンスの運営と進行で頭の中が一杯で,写真撮影まで気が回らず,大変助かりました.ここに記して,謝意とさせていただきます.