2012年度年次大会熱工学部門報告

第89期熱工学部門年次大会実行委員会
委員長 多田 幸生(金沢大学)

  日本機械学会2012年度年次大会が9月9日(日)-12日(水)に亘り,金沢大学を主会場として開催されました。 会期4日間のうち,第1日目には市民開放行事が金沢駅および兼六園周辺の施設で行われ,東日本大震災特別企画など17件の企画が実施されました。 第2日目以降,学術講演会が金沢大学の角間キャンパスで行われました。
 年次大会の特徴は機械学会の全部門が一同に会するところにあり,熱工学部門でも部門横断セッションを中心に講演が企画されました。 熱工学部門のオーガナイズドセッションとしては,「バイオにおける流れと熱・物質移動」(バイオエンジニアリング部門,流体工学部門,熱工学部門の共同企画,セッション数5,講演数18), 「マイクロ・ナノスケールの熱流体現象」(流体工学部門,熱工学部門,マイクロ・ナノ工学部門の共同企画,セッション数:5,講演数:28), 「乱流における運動量,熱,物質の輸送現象」(流体工学部門,熱工学部門の共同企画,セッション数:4,講演件数:24), 「燃料電池・二次電池とナノ・マイクロ現象」(流体工学部門,計算力学部門,材料力学部門,熱工学部門,動力エネルギーシステム部門,マイクロ・ナノ工学部門の共同企画,セッション数:5,講演件数:27), 「電子情報機器,電子デバイスの強度・信頼性評価と熱制御」(熱工学部門,材料力学部門,計算力学部門の共同企画,セッション数:3,講演数:13) の5セッションで計110件の講演発表があり,他部門の研究者を交えた活発な討論が行われていました。熱工学部門の一般セッションでは, 伝熱関連(セッション数3,講演件数:17件)燃焼関連(セッション数:2,講演件数:9),エネルギーの有効利用関連(セッション数:1,講演件数:6件)が開催され,計32件の研究成果が発表されました。 また,熱工学部門企画のワークショップ「沸騰伝熱徹底討論XII」では研究会報告や応用例の紹介など3件の講演があり,文字通り「熱い」研究討論が繰り広げられました。
 金沢大学のキャンパスは北地区(A会場),中地区(B会場),南地区(C会場)の3つからなります。同じキャンパス内であっても各地区の移動に時間がかかるため,できるだけ関連する研究発表が同じ会場になるよう, 全体のプログラム編成ではかなり苦労を要しました。ご関心のある研究分野によっては休憩時間の確保や講演室の移動などについてご不便をお掛けしたかも分かりません。 どうぞご容赦ください。また,大会テーマが「日本再生に向け新たな未来を切り拓く機械工学(エネルギー,クオリティーオブライフ,オープンイノベーション)」であったこともありますが, 他部門企画のワークショップ等においてもエネルギー関連技術の発表が見られ,日本再生に向けてこの分野の一層の進展が求められていることを感じさせる大会となりました。
 部門同好会は9月10日(月)の夕刻より,熱工学,計算力学,流体工学,動力エネルギーの4部門合同で,金沢大学のキャンパス内にあるすみれ亭において開催されました。 いろいろな部門と交流を深めた方が良いとの実行委員会での意見もあり,昨年度とは一部異なる部門との合同開催となりました。参加者数は全体で63名(うち当部門は14名)でした。 各部門の代表者から御挨拶をいただき,たいへん盛況で,各部門間の情報交換など有意義な会になりました。4つの部門の中で,熱工学部門が最も出席率が高く,ご参加くださった皆様にお礼申し上げます。
 本年度の年次大会も滞りなく終了し,今回ご尽力頂いたオーガナイザーの皆様,貴重な研究成果をご発表いただいた講演者の皆様,部門賞評価の採点など種々のご協力を賜りました座長の皆様に厚く御礼申し上げます。 2013年度に岡山で開催される年次大会にはさらに多くに皆様のご参加を賜り,研究発表を通じての情報交換と交流を深めていただけますよう祈念いたします。