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報告
第8回日韓熱流体工学会議報告



日本側実行委員会委員長  冨田 栄二

1. はじめに

第8回日韓熱流体工学会議が,日韓の機械学会の熱・流体工学部門共催で,2012年3月18日(日)から21日(水)にわたり,仁川(Incheon)市ソンドの「Songdo Convensia」を会場として開催されました.

2. 開催経過

日韓熱流体工学会議は,日本機械学会と韓国機械学会の熱・流体工学部門の共催で,1988年にソウルで第1回が開催された後,しばらくは熱工学と流体工学の分野で別々に開催されてきました.熱工学側は,北九州(1992),キョンジュ(1996),神戸(2000),流体工学側は,ソウル(1990),仙台(1994),プサン(1998),名古屋(2002)と開催された後,第6回会議からは,また熱・流体工学部門合同の会議として,韓国のチェジュ島で2005年に開催され,第7回会議は、日本機械学会の熱工学部門が主担当となり,札幌で開催されました.今回は,韓国側の熱工学部門が主担当となり,インチョンで開催されました.

講演件数は,特別講演8件,フォーラム152件,一般講演308件,合計468件でした.また会議参加者数は 626名でした.そのうち,日本側からは、発表218件、参加者295名でした.日韓以外の国々からは,米国,カナダ,タイ,インド,ドイツ,マレーシア,オランダ,ノルウエー,インドネシア,中国,スウエーデンなどから23名の参加がありました.学生の参加は301名で約半数弱を占め,学生にとっては貴重な会議となったと思われます.過去最高の参加者数を記録した前々回のチェジュでの大会では,講演件数492件,出席者693名でしたが,今回も札幌のときと同様,ほぼ同規模の大会となり,多数の皆様の意欲に支えられた大会であったことを実感いたしました.ご参加いただきました皆様方に,心から御礼を申し上げます.

3. 日程と行事内容

3月18日(日):

夕方,レセプションが本会議会場のソンド・コンベンシアの一室で開催され,レセプションとしては結構豪華な食事が並んでおりました.

3月19日(月):

9時からの開会式で,日・韓の実行委員長の挨拶があり,その後,韓国および日本側の講師による特別講演4件(熱・流体2件ずつ)がありました.その後,一般セッションとフォーラムセッションが,午後6時前まで10講演室並行で行われました.夕方からは,バンケットが開催されました.韓国側および日本側の実行委員長の挨拶から始まり,インチョン市長,KSME会長,インチョン大学長からの挨拶もありました.乾杯の発声は韓国側と日本側の2名が続けて行うのが習わしになっているようで,日本側は宮内先生のご発声でした.大きな部屋が人でいっぱいになり,盛大なパーティとなりました.宴もたけなわの頃に,ヒップホップダンスのパフォーマンスがありました.

3月20日(火):

午前9時から韓国および日本側の講師による特別講演4件(熱・流体2件ずつ)がありました.その後,前日同様,一般セッションとフォーラムセッションが,午後6時前まで10講演室並行で行われました.

3月21日(水):

セッションが始まる前に,今後の日韓熱流体工学会議を今後,どうするかについて1時間ほど意見交換を行いました. 2015年から日米韓で熱工学,流体工学それぞれが開催するので,当初の予定では本会議は今回で終了とのことでした.しかし,韓国側の強い要望もあり,次回会議を2017年に日本で開催という案を日本側が持ち帰って検討するということになりました.

9時からは一般セッションとフォーラムセッションがあり,正午前にすべての講演を終了しました.午後からは,コレアガスのLNG施設を見学するツアーが組まれ,20名ほどが参加しました.

4.プログラム編成

プログラムは下記のような特別講演8件,フォーラム講演152件と一般講演308件で構成されました.今回の会議では最終日も多くの参加者が熱心な講演と討論を繰り広げておられました.

特別講演

熱工学側
・Prof. Masanori Monde (Saga University)
“Characteristics of quenching high temperature surface and vapor explosion”
・Prof. Toshio Miyauchi (Tokyo Institute of Technology)
“Recent Progress in Laser Diagnostics and DNS of Turbulent Combustion”
流体工学側
・Prof. Nobumasa Sugimoto (Osaka University)
“Thermoacoustics as instability of gas due to diffusion under temperature gradient”
・Prof. Satoru Yamamoto (Tohoku University)
“Simulation of Thermophysical Flows”
韓国側
・Prof. Tae-Ho Song (KAIST)
“Technical issues of vaccum insulation panels”
・Prof. Mansoo Choi (SNU)
“Thermal control of growth of nanoparticles and their assembly”
・Prof. Hyung Jin Sung (KAIST)
“Particle separation by optical forces”
・Prof. Sang Joon Lee (POSTECH)
“Biofluid flow phenomena as the secrets of nature”
フォーラム
FR01. Advances in home appliances
Dr. Sedong Jang (LG electronics), Prof. Y. Yokono (U Tokyo)
FR02. Advances in internal combustion engine
Prof. C. Bae (KAIST), Prof. T. Shudo (Tokyo M. U)
FR03. Advances in turbomachinery
Prof. T. S. Kim (Inha U), Prof. J. Matsui (Yokohama N. U)
FR04. Bio-medical engineering
Prof. J. K. Kim (Kookmin U), Dr. T. Tsukiya (NCVC)
FR05. Electronics cooling
Prof. Prof. G. H. Rhee (U. of Seoul), Prof. M. Ishizuka (Toyama P. U)
FR06. Environmental thermo-fluid mechanics
Prof. T. S. Kim (Sungkyunkwan U), Prof. K. Nagano (Hokkaido U)
FR07. Fuel cell and its application
Prof. S. Um (Hangyang U), Prof. T. Chikahisa (Hokkaido U)
FR08. Heat and fluid flow in nuclear reactor
Prof. J. H. Jeong (Pusan N. U), Prof. H. Sakashita (Hokkaido U)
FR09. Microfluidics
Prof. H. Y. Kim (Seoul N. U), Prof. M. Watanabe (Hokkaido U)
FR10. Modeling of turbulent combustion
Prof. N. I. Kim (Chung Ang U), Prof. M. Tanahashi (Tokyo Inst Tech)
FR11. Nano engineering in thermosciences
Prof. O. Kwon (Korea U), Prof. G. Nagayama (Kyushu Inst Tech)
FR12. New trends in CFD
Prof. G. Son (Sogang U), Prof. M. Yamamoto (Tokyo U. Sci)
FR13. Novel heat storage system
Prof. J. D. Chung (Sejong U), Prof. A. Horibe (Okayama U)
FR14. Renewable energy
Prof. S. W. Cha (Seoul N. U), Prof. Y. Hasegawa (Nagoya Inst Tech)
FR15. Thermo-fluids in process control
Prof. W. C. Kim (Yonsei U), Prof. K. Miyazaki (Kyushu Inst Tech)

5.会議を終えて

今回は韓国開催ということで,日本側としては韓国側のサポート役に徹しました.最終的には,ほぼ成功裏に終わったといっても良いかもしれませんが,開催するまでは,あるいは会議が始まっても本当にうまくいくのかどうか常に不安が頭をよぎっておりました.

まず,開催時期の設定が問題になりました.もう1週間早めるという案もありましたが,国立大学の後期入試およびその採点や合否判定などが重なるため,この日程に決定しました.一部の大学では,卒業式などと日程が重なってしまい,ご出席いただけなかった方々もおられました.3月中〜下旬という日程は考え直したほうがよいかもしれません.

次に,アブストラクトの締切を,最初の予定から合計2回,約2か月延長して,実はさらに延長していたようで,500件を超えるアブストラクトを集めることができました.無理をして集めたのか,フルペーパ(といっても2〜4ページ)は468件となりました.しかし,韓国側の気迫が十分感じられました.

今回は、論文の著作権の扱いについて韓国側と検討した結果、著作権は著者に帰属するということにしました。すなわち、今までは、著作権は日本側あるいは韓国側の機械学会に帰属するなど、会議での発表内容をジャーナルに投稿するときに不便だったことを踏まえて改善しました.

会場内の部屋の数が少なかったため,同一セッションに異なる分野の講演があったり,同一時間帯に同じ分野の講演があったりで,講演プログラム作成の準備不足があったりして,皆様にご迷惑をおかけしたかもしれません.また,昼休み時間が50〜55分間と短く,慌ただしい昼食となりました.国際会議ではもう少し余裕があるほうがよいと思います.会場代が高かったことと無理やり講演を詰め込んだためにこのようなことになったのではないかと考えられます.

以上のように反省点は多々ありましたが,参加者の皆様からは,有意義で楽しい学会でした,とのお声をかけていただき,実行委員一同嬉しく思いました.

最後に,今回の会議を準備していただきました韓国側の実行委員各位に感謝の意を表したいと思います.また,日本側の連絡や準備等を担当していただいた田部豊先生には,韓国側とのやりとりや間際になっての日本側座長決定など,事務作業を緻密に手際よく精力的に実行していただき,本当に感謝いたしております.さらに,流体工学部門の梶島岳夫先生や渡邉聡先生にも合わせて感謝の意を表したいと思います.またこのほか,オーガナイザの方々にも改めて感謝申し上げる次第です.

「第8回日韓熱流体工学会議」実行委員
Chairpersons
Nae Hyun Kim (Chair; U Incheon)
Eiji Tomita (Chair; Okayama U)
Takeo Kajishima (Vice Chair, Osaka U)
Secretariats
Yong Tae Kang (Secretary General; Kyung Hee U)
Yutaka Tabe (Secretary General; Hokkaido U)
Satoshi Watanabe (Secretary General; Kyushu U)
Organizing Committee Members  (in alphabetical order)
(JSME)
Yutaka Hasegawa (Nagoya Inst Tech)
Akihiko Horibe (Okayama U)
Masaru Ishizuka (Toyama Prefect U)
Yasuo Kawaguchi (Tokyo U Sci)
Koji Miyazaki (Kyushu Inst Tech)
Hiroto Sakashita (Hokkaido U)
Ryo Shirakashi (U Tokyo)
Tomonori Tsukiya (NCVC)
Mamoru Tanahashi (Tokyo Tech)
Satoru Yamamoto (Tohoku U)
Masao Watanabe (Hokkaido U)
(KSME)
Keumnam Cho (U Sungkyunkwan)
Hyoung Gwon Choi (Seoul Natl U Tech)
Mansoo Choi (Seoul Natl U)
Jae Dong Chung (Sejong U)
Deog Hee Doh (Korea Maritime U))
Man Yeong Ha (Pusan Natl U)
Minsub Han (U Incheon)
Siyoung Jeong (Sogang U)
Byung Ha Kang (Kookmin U)
Min Soo Kim (Seoul Natl U)
Sung Jin Kim (KAIST)
Tong Seop Kim (Inha U)
Yongchan Kim (Korea U)
Changhoon Lee (Yonsei U)
Dae-Young Lee (KIST)
Hyun Kook Myong (Kookmin U)
Yang Na (Konkuk U)
Sukkee Um (Hanyang U)
Jaisuk Yoo (Ajou U)



会場の「Songdo Convensia」(正面)

レセプション

開会式直前の風景

スポンサー一覧

バンケットで韓国側に続き、日本側から2回目の乾杯をされる宮内敏雄先生

広い会場でのバンケット

バンケットの余興〜ヒップホップダンス

ジョージアテック大学のガリメラ先生の講演

コレアガス見学〜記念館の前で集合写真

コレアガス見学〜LNGを使った実験(温度計が−157℃を示している)