変革の時は挑戦の時

次期副部門長 庄子 哲雄(東北大学)

 平成10年4月より第76期材料力学部門副部門長をお引き受けすることになりました。白鳥正樹次期部門長を助け、部門のさらなる発展に微力ながら精一杯努力したいと思いますのでご協力をお願い致します。
 21世紀を目前にして、材料力学の新しい発展についてはこれまで多くの方々の努力で新しい計測技術、計算技術さらには材料物性に着目した評価技術等の進歩とともに学際的研究分野に広がりを持ち始めていることは心強い限りです。
 「経済発展」「資源・エネルギーの確保」「地球環境保全」の「トリレンマ」の克服が人類の未来にとって重要な課題であることが指摘され始めてから久しく、このような背景をもとにSUSTAINABLE DEVELOPMENTの理念に基づき1990年に地球再生計画が発表され大枠の行動計画が立てられている(図参照:出典「現代エネルギー・環境論」電力新報社、1997年)。省エネルギーの推進、クリーンエネルギーの大幅拡大等、そして長期的には核融合技術等の次世代エネルギー技術の発展が期待されている。21世紀の環境問題が地球規模でさらに深刻な問題となっている現在、過去のような資源・エネルギーの消費は不可能であり、膨大なエネルギーを消費して作られた各種機器・構造物をできるだけ長期に安全性、信頼性を向上させながら維持していくことが強く求められている。
 材料力学の発展は機器・構造設計基準の確立に大きな貢献をしてきた。現在、このようにして作られた機器・構造物の維持基準について大きな関心が向けられている。材料と力学(Materials & Mechanics)を中心課題とする本部門が主体となって、経済性と長期信頼性を両立させるための知恵を生み出し技術体系を確立していく事は、時代の要請である。実構造物における現象の複雑さの克服には、学際的なアプローチが不可欠であり、異専門分野の異なる見方の研究と得られた成果の共有が不可欠である。他部門、他学協会との交流もさらに深めることも大切であろう。アメリカ機械学会においてはこのような背景を踏まえ設計規格・基準を目的としたボイラ・圧力容器規格委員会とは独立に、既設プラントのメインテナンス規格・基準を審議、制定することを目的に、POST CONSTRACTION MAIN COMMITTEEが新たに設立され、Flow EvaluationとInspection Planningの委員会が活動を開始している。
 さまざまな意味で不透明な時代と言われる21世紀に向けて、さらなる挑戦が求められている。


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