日本機械学会の活動と未来
1.日本機械学会の役割
日本機械学会は,技術社会の基幹である機械関連技術に関わる技術者,研究者,学生,法人の会員から構成されています.講演発表会,講習会,研究分科会などの企画実施,市民フォーラムによる社会の啓発活動,国際会議による世界への貢献を活発に行い,会員相互の学術の向上と社会への技術成果の還元をしています.
2.日本機械学会の特徴
- 日本機械学会は,機械に関連する広い学術の分野をカバーする22の部門と地域の活性化活動を中心に行う8つの支部とが「縦糸・横糸」となって会員のための活動をしています.
- 日本機械学会は「日本機械学会誌」,「日本機械学会学術誌」,「機械技術専門図書」を出版し,機械工学の学術の発展と文化の創造に貢献しています.
- 日本機械学会は,国際社会や日本社会についてのグローバルな視点に立って常に改革の努力を惜しまず,会員と社会にとってよりよい学会になるべく行動しています.
- 日本機械学会は120年の歴史に立つ学術伝統をもち,常によりよい学会を指向して行動するダイナミックな学会です.
3.会員数(2023年度末:2024年2月末日現在)
日本機械学会の総会員数は30,928であり,日本で最大級の学術専門家集団であります.
4.日本機械学会の運営
日本機械学会の運営は,会長,副会長,および庶務,財務,編修,企画,広報を所轄する理事から構成される理事会で重要案件が審議され,部門と支部によってその具体化が活発に行われています.会員は代表会員の選挙権をもち,代表会員は会長及び理事を選出する権利を持っています.
日本機械学会の事務局本部は,以下のとおりです.
〒162-0814 東京都新宿区新小川町4番1号 KDX飯田橋スクエア2階
電話03-4335-7610/FAX03-4335-7618
5.日本機械学会の将来
日本機械学会は創設120周年を2017年に迎えました.これと相まって21世紀を迎えた本学会は,科学技術の全体的視野と日本および世界の社会経済状況を踏まえて,技術立国日本の基幹学会としての役割を認識し,機械及び機械システムとその関連分野に関する学術技芸の進歩発達をはかり,もって人類社会の発展と安寧及び福祉の向上に貢献する道を進んでいきます.
具体的には
- 機械関連技術に関心を持つ産業界,学界の専門家のみならず,機械技術と社会・経済との関係にも関心のある職業人の学会への参画
- 機械工学に関連する幅広い学術の振興
- 学会員の社会的地位向上
- 社会に開かれた学会活動
- 国際貢献とリーダーシップ
を目指して,その意識改革と制度改革を図り,よりよい学会へと成長します.
6.本学会の沿革
設立の経緯:
1879年(明治12年)に我が国の工学関係の最初の学会である工学会(現・日本工学会)が設立されました.その後,工学の発展に伴い各専門分野の研究が盛んとなって専門別の学会が設置され始め,本会も1897年(明治30年)に真野文二博士を代表者として創設されました.真野文二博士は1886年に渡英してInstitution of Mechanical Engineersの会員となり,同会の会員が大学の学位以上に尊ばれているという実情に驚き,帰国後本会の創立を提唱するに至ったものです.日本機械学会の沿革と日本・世界の技術と出来事を次の表のようにまとめ,本会の成長を見ます.
年 | 日本機械学会の沿革 | 日本・世界の 技術と出来事 |
---|---|---|
1897(明治30年) | 6月12日創立「機械学会」(正員72名)会誌第1号発行 | |
1901(明治34年) | 機械工学術語集第1輯発行 | 官営八幡製鉄所始業 |
1924(大正13年) | 社団法人設立許可,会誌月刊 | 鉄道省,日立製作所製電気機関車公開試験運転 |
1925(大正14年) | 関西支部設置 | ビタミンA発見,ラジオ放送開始 |
1934(昭和9年) | 機械工学便覧初版発行 | |
1935(昭和10年) | 機械学会論文集創刊 | 大量生産方式ダットサンの製造開始(日産自動車),D型標準旋盤,H型高速旋盤を発表(池貝鉄工所) |
1938(昭和13年) | 「日本機械学会」と改称 | 航研機,長距離周回世界記録樹立 |
1945(昭和20年) | 原子爆弾の投下,第2次世界大戦終了 | |
1947(昭和22年) | 日本機械学会誌が第3種郵便物許可(論文集の許可は1954年) | |
1948(昭和23年) | 九州支部設置 | |
1952(昭和27年) | 東海支部設置 | 東海村原子炉に原子の火ともる人類初の水爆実験。米IBM社が初の商用のコンピュータIBM 701を発売。〔胃カメラ初号機〕完成(オリンパス) |
1958(昭和33年) | 欧文論文集創刊 | 東京タワー完成 |
1959(昭和34年) | 日本機械学会賞第1回贈賞,研究協力事業開始 | 計量単位メートル法に統一実施 |
1960(昭和35年) | 北海道支部設置,特許庁より特許法30条の指定団体に | カラーテレビの本放送開始 |
1961(昭和36年) | 関東学生会発足 | ボストーク1号初の有人宇宙飛行 |
1962(昭和37年) | 中国四国支部設置 | YS-11国産旅客機が初飛行 |
1963(昭和38年) | 北陸信越支部設置 | |
1964(昭和39年) | 東京オリンピック,東海道新幹線開通 | |
1965(昭和40年) | 東北支部設置 | |
1967(昭和42年) | 創立70周年,第1回国際シンポジウム開催 | 東海村,原発運転開始四大公害裁判の始まり公害対策基本法公付 |
1969(昭和44年) | アポロ11号が人類初の月着陸 | |
1971(昭和46年) | 国際交流部会発足 | 低公害エンジン・CVCCエンジンを発表(ホンダ) |
1973(昭和48年) | 会員管理にカード管理から電算機利用,論文集別刷代(掲載料)徴収 | オイルショック |
1975(昭和50年) | 会員の大会参加登録費 | サイゴン陥落,ベトナム戦争が終結 |
1976(昭和51年) | 日本ビクター,家庭用VHSビデオ1号機,HR-3300を発売 | |
1978(昭和53年) | 日本語ワープロJW-10(東芝),新東京国際空港が開港 | |
1982(昭和57年) | 日本機械学会奨励賞 | 東北新幹線・上越新幹線開業 |
1985(昭和60年) | メカライフの創刊 | 国際科学技術博覧会(つくば万博)開催 |
1986(昭和61年) | チェルノブイリ原子力発電所事故発生,スペースシャトル,チャレンジャー号爆発事故 | |
1987(昭和62年) | 創立90周年,部門制施行・・・学術講演会の活性化が起こる. | 青函トンネル完成 |
1991(平成3年) | 湾岸戦争,ソ連邦崩壊ロシア共和国へ,バブル景気崩壊 | |
1993(平成5年) | インターネットの普及が始まる | |
1994(平成6年) | 関東支部設置 | PL法公布 |
1995(平成7年) | 本会が特定公益増進法人として認可(1995.11.24~2年間) | 阪神・淡路大震災,地下鉄サリン事件 |
1996(平成8年) | 本会ホームページ開設 | 人間型自律二足歩行ロボットの公開 |
1997(平成9年) | 創立100周年記念事業実施を経て第2世紀改革へ踏み出す | 京都議定書,ハイブリッド車プリウス発売 |
1998(平成10年) | 第二世紀将来構想実施計画答申提出 | |
1999(平成11年) | 日本機械学会倫理規定を制定,組織改革実施,フェロー制度発足 | 日本技術者教育認定機構(JABEE)発足 |
2000(平成12年) | 広報理事,広報・情報部会設置 | |
2001(平成13年) | JABEE技術者教育プログラム認定「機械及び機械関連分野」本会試行 | アメリカ同時多発テロ事件発生 |
2002(平成14年) | 会員への電子メール情報配信 | |
2003(平成15年) | 「法工学部門」発足,機械工学便覧β編「法工学」 | イラク戦争 – フセイン政権崩壊 |
2004(平成16年) | 「会長談話」三菱自動車工業(株)関連,同緊急集会開催 | |
2005(平成17年) | CPD(会員の継続学習履歴登録)実施,WEB上の部門英文論文誌開始 | |
2006(平成18年) | 8月7日は「機械の日」,8月1日~7日は「機械週間」(メカウィーク)を制定 | |
2007(平成19年) | 創立110周年記念事業で機械遺産を認定,技術ロードマップを策定,倫理規定を改訂 | |
2011(平成23年) | 一般社団法人へ移行認可,日本機械学会論文集の電子化移行 | 東北地方太平洋沖地震,福島原子力発電所事故 |
2012(平成24年) | マイクロ・ナノ工学部門発足(2006年12月専門会議設置) | |
2015(平成27年) | スポーツ工学・ヒューマンダイナミクス部門発足(2009年10月専門会議設置) | SDGs(持続可能な開発のための2030アジェンダ)国連サミットで採択 |
2017(平成29年) | 創立120周年記念事業、日本機械学会誌・HPリニューアル、メカジョ未来フォーラム・女性未来賞制定 | |
2019(令和元年) | イノベーションセンターならびに標準・規格センター廃止 | 平成から令和へ改元 |
2020年(令和2年) | 学会横断テーマの設定 | 新型コロナウイルス感染症の流行 |
2021年(令和3年) | 本部事務局を信濃町から飯田橋に移転 | |
2023年(令和5年) | 新部門制の本実施 |