第12回技術者のための技術者倫理セミナー -事故・不祥事の背景から学ぶリスクマネジメント:笹子トンネル天井板落下事故-
2014年5月17日 | マイクロ・ナノ工学部門 技術と社会部門特別講演会主催No.14
協賛(予定)
日本技術士会,可視化情報学会,計測自動制御学会,自動車技術会,精密工学会,ターボ機械協会,日本計算工学会,日本航空宇宙学会,日本塑性加工学会,日本鋳造工学会,日本マリンエンジニアリング学会,日本ロボット学会,溶接学会,化学工学会,日本建築学会,土木学会,電気学会,日本化学会,電子情報通信学会
【開 催 日】
2014年5月17日(土)10.00~17.00
【今回のテーマおよび論点】
「設備の維持管理の重要性:笹子トンネル天井板落下事故を事例にして」
今回は2012年12月2日,中央自動車道上り線の笹子トンネル内で起きた天井板落下事故を取り上げ,設備の維持管理の重要性と設計技術者の責任について考察する.事故は,高速道路内のトンネル換気のために設置されたコンクリート製の天井板および隔壁板等が約140mにわたって落下し,走行中の車両3 台が天井板の下敷きになり,死者9名,負傷者2名の大惨事となった.
この事故の直接原因は,設備点検・補修を含めた設備維持管理が適切に行われなかったことである.長期にわたって機能を維持すべきインフラにおける設備維持管理が軽視されている現状が問われた事故である.
また,事故調査検討委員会報告書では,「接着系ボルトで固定された吊り天井方式について,速やかに安全措置を講じるとともに,可能ならば撤去すべき」と指摘されている.設計は,費用と納期の制約条件の中で行われるが,設計者にとって,設計の基本的部分が否定されたことは重要な指摘事項である.
<討論課題>
1.長期にわたって機能を維持すべきインフラ設備の維持管理の現状をどのように変革していくか.
2.設計技術者として,どのような配慮をして設計すべきであったか.
について,設備の維持管理,設計技術者の責任について,全員で討論し,考えてみたい.
セミナーでは,次の手順により議論を進める.
1.事前に配付された資料による自主学習.
2.グループ意見交換において,自分の意見を明らかにする.
3.全体討論において自分の立場を明確にして議論する.
事前に配付する資料を読んで頂いて,参加されることを前提とする.
【趣 旨】
科学・技術の蓄積・普及により現代社会が著しい発展を遂げていることは誰もが認めることであり,そのための専門技術の重要性とそれを担う専門技術者の重要性はますます大きくなる.さらに技術の複合化,総合化は技術者がその専門領域にのみ留まることを許さず,関連分野を含めて専門職として社会に積極的に関与することが求められている.しかしながら,技術者が責任を持って行動するために必要な組織や社会における地位は変わらない.
技術に関わる事故・不祥事は,注意不足/説明不足等による技術者の能力に起因するもの,不適当な情報により境界の線引きを誤るもの,技術的問題は判っているが組織のリスク判断逸脱等の様々な状況があるが,いずれにしても技術を専門としている技術者の関わりが大きく,技術者が主体となって解決しなければならない.
このセミナーでは,過去に起きた事故・不祥事を取り上げ,明らかになった客観的な情報からその背景を掘り下げ,共通認識を持った上で,自分自身がその当事者であったらどのように行動するかを小さなグループ別に討議することを通して技術者倫理について学んでいただく.
【プログラム】
10.00~10.10/セミナーの趣旨説明,本日の進め方
横浜国立大学 大学院工学研究院 教授(主査)高田 一
10.10~10.50/笹子トンネル事故の概要
東京工業大学 イノベーションマネジメント研究科 客員教授 中村昌允
10.50~11.10/討議の進め方
オカダ・アソシエイション 技術士 岡田惠夫
11.15~13.00/グループワーク
1.設備の維持管理が軽視されている現状をどのように変革していくか
2.設計技術者として,どのような配慮をして設計すべきであったか
講師全員
13.00~17.00/技術者倫理に関する全体討論
(株)日機装技術研究所 技術顧問 技術士 小西義昭
明治大学 理工学部 准教授 村田良美
講師全員
司会 高田 一
【定 員】
30名,申込み先着順により定員になり次第締め切ります.